SSブログ

216.特2級から3級への昇格(その5) [26.特2級から3級へ]

 せっかく特2級を創設したのに、3級に昇格すると本俸(本俸的給与)が下がってしまうのでは、給与制度としては問題が多いと思う。しかし、少なくない県でそのような昇格方法を採用しているのは、やはり、財源問題が大きいのであろう。
 特2級を創設すれば、特2級に昇格した者の本俸がアップし、それに財源が必要になるのは、素人でも誰でもわかる。ところが、そのために、既に3級以上に昇格している者の本俸も引き上げることには、抵抗があるのだろう。主幹教諭や指導教諭となれば、それまでの教諭とは職務内容が異なり、責任も重くなるのだから理解できる。しかし、教頭や校長については、主幹教諭や指導教諭を設置したことで職務負担が軽減されることはあっても、それに伴って職責がより重くなるという訳ではないのに、なぜ、本俸を引き上げるような調整を行わなければならないのかと素朴な疑問が湧くのも当然だろうし、在職者調整の必要性を説明するのも困難であったのだろうと想像する。

 その辺りについて、平成20年2月の全人連モデルでの説明では、どのようになっていたのであろうか、引用しておく。
 「(2) 昇格加算額を9,000円とすることにより3級以上の職(校長、教頭等)で、実質的な処遇が若干上がる(4~14号俸)こととなる。
 既存の級と級の間に新級が挿入され、昇格というステップを踏むことになれば、それに応じて上位の級の対応関係が有利に働くことは制度的にも不可避のところであると考える。また、今回の学校教育法の改正では教頭よりも格の高い副校長及び初任の役職である主幹教諭の設置が規定されており、校長、教頭等の職務・職責の高まりを考慮すれば特段の問題は生じないものと考える。
なお、これに伴い、現に3級に在職する者について、一部在職者調整を要する場合が生じる可能性がある。」
 かみ砕いて説明すれば、「校長、教頭等の職務・職責については、主幹教諭の設置が法制化されるほど既に高まっているのだから、在職者調整は当然である」との認識だと受け止めてよいだろう。

 もちろん、昇格時号俸決定について、原則どおりの方法を採用している県もある。条例や人事委員会規則を点検してみて、余計な内容が書かれていなければ、たぶん、原則どおりの運用と見てよいだろう。
 C県の条例を取り上げる。特2級を創設した条例の附則は次のようになっている。

1 この条例は、平成20年4月1日から施行する。
2 この条例の施行の日前に○○県公立学校職員の給与に関する条例別表第1および別表第2の給料表の適用を受ける職員のうち同日前に職務の級を異にして異動した職員および人事委員会の定めるこれに準ずる職員の新号給については、その者が同日において職務の級を異にする異動等をしたものとした場合との権衡上必要と認められる限度において、人事委員会の定めるところにより、必要な調整を行うことができる。

 そして、C県の人事委員会規則を点検すると、A県やB県のような規定は見あたらないので、原則どおりの昇格運用と考えられる。更に、附則第2項は、いわゆる在職者調整の根拠規定と考えられるので、この県では、特2級創設に伴って、3級以上に在級している者に対する調整措置を講じたのであろうと思われるのである。

 いずれにしても、行政職給料表適用職員の在職者調整については、調整の際には財源が必要になると思われても、結局は民間給与実態調査に基づく公民比較の中で解消されるとも考えられるのだが、教育職については、民間比較対象外職種であるがために、別途財源を確保しなければならないのである。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。