241. 博士課程修了(その2) [31.博士課程修了]
次に、瀧本忠男ほか『新俸給制度詳解』(学陽書房、昭和32年)に関係する記述がないか探してみる。
「一○ 教育職俸給表(二)初任給基準表
1 初任給額の構成
本表の初任給の額は、大学の助手の場合と同様、行政職俸給表(一)初任給基準表より一号俸高くし、また、修士課程修了者はさらに一号俸高くなっている。この修士課程修了者については、高等学校の教員免許状が、修士課程を修了することによつて大学卒に授与される免許状よりも上の教諭一級免許状が授与されることにより、短大卒と大学卒との間の修学年数二年差を昇給期間として三年差、すなわち、三号俸差として初任給を定めた考え方と同様、修士課程修了と大学卒との間の修学年数二年差を昇給期間として三年差、すなわち、三号俸差として初任給に格差を設けたものであり、教員の免許状制度による特殊性を認めたものである。これはまた、さきに行われた高学歴者の俸給是正の趣旨に沿った措置である。」
「一一 教育職俸給表(三)初任給基準表
…ただ、適用上教育職俸給表(二)初任給基準表と若干相違する点がある。すなわち、それは大学院の修士課程修了者の初任給について表上別段の定めがないことであるが、これは高等学校の教諭の場合と異なり、大学卒をもって教諭一級普通免許状が授与されることになるが、さらに修士課程を修了している場合であつても、それより上級の免許状がないのであるから、当然一級免許状以上の資格はない。従って、大学卒との間に免許状の資格と差がないので、修士課程修了者の初任給基準について特例を掲げなかつたものである。しかしながら、実質的には、記述のとおり、修学年数調整表の備考第六項によつて、高等学校教諭の修士課程修了者同様、大学卒業者より三号俸上位の号俸にすることが可能となっている。」
当時の人事院給与局関係者の著作にこのような記述があるのだから、教員の初任給についても教育職員免許制度の体系が考慮されたことは間違いない。
しかし、ここでも博士課程は出てこない。
そこで、そもそも博士課程修了の初任給基準が設けられたのはいつなのだろうか。瀧本忠男ほか『新俸給制度詳解』(学陽書房)には記載がないのだから、昭和32年以降であることは確かである。
確認して見ると、旧教(二)(三)の初任給基準表に博士課程修了の初任給基準が設けられたのは、昭和36年10月1日の改正によるようである。このときの改正で、大学卒との修学年数差5年に対して7号俸の差が設けられ、今日に至っている。
<旧教(二)初任給基準>
学歴免許 32.4.1 36.10.1
博士課程修了 (2等級7号俸) 2等級8号俸
修士課程修了 2等級4号俸 2等級4号俸
大学卒 2等級1号俸 2等級1号俸
短大卒 3等級4号俸 3等級4号俸
<旧教(三)初任給基準>
学歴免許 32.4.1 36.10.1
博士課程修了 (2等級9号俸) 2等級11号俸
修士課程修了 (2等級6号俸) 2等級7号俸
大学卒 2等級4号俸 2等級4号俸
短大卒 2等級1号俸 2等級1号俸
高校卒 3等級1号俸 3等級1号俸
( )は、修学年数調整による調整を加えた初任給基準
このとき何が行われたのかについては、佐藤三樹太郎『教職員の給与』(学陽書房)は沈黙している。
「一○ 教育職俸給表(二)初任給基準表
1 初任給額の構成
本表の初任給の額は、大学の助手の場合と同様、行政職俸給表(一)初任給基準表より一号俸高くし、また、修士課程修了者はさらに一号俸高くなっている。この修士課程修了者については、高等学校の教員免許状が、修士課程を修了することによつて大学卒に授与される免許状よりも上の教諭一級免許状が授与されることにより、短大卒と大学卒との間の修学年数二年差を昇給期間として三年差、すなわち、三号俸差として初任給を定めた考え方と同様、修士課程修了と大学卒との間の修学年数二年差を昇給期間として三年差、すなわち、三号俸差として初任給に格差を設けたものであり、教員の免許状制度による特殊性を認めたものである。これはまた、さきに行われた高学歴者の俸給是正の趣旨に沿った措置である。」
「一一 教育職俸給表(三)初任給基準表
…ただ、適用上教育職俸給表(二)初任給基準表と若干相違する点がある。すなわち、それは大学院の修士課程修了者の初任給について表上別段の定めがないことであるが、これは高等学校の教諭の場合と異なり、大学卒をもって教諭一級普通免許状が授与されることになるが、さらに修士課程を修了している場合であつても、それより上級の免許状がないのであるから、当然一級免許状以上の資格はない。従って、大学卒との間に免許状の資格と差がないので、修士課程修了者の初任給基準について特例を掲げなかつたものである。しかしながら、実質的には、記述のとおり、修学年数調整表の備考第六項によつて、高等学校教諭の修士課程修了者同様、大学卒業者より三号俸上位の号俸にすることが可能となっている。」
当時の人事院給与局関係者の著作にこのような記述があるのだから、教員の初任給についても教育職員免許制度の体系が考慮されたことは間違いない。
しかし、ここでも博士課程は出てこない。
そこで、そもそも博士課程修了の初任給基準が設けられたのはいつなのだろうか。瀧本忠男ほか『新俸給制度詳解』(学陽書房)には記載がないのだから、昭和32年以降であることは確かである。
確認して見ると、旧教(二)(三)の初任給基準表に博士課程修了の初任給基準が設けられたのは、昭和36年10月1日の改正によるようである。このときの改正で、大学卒との修学年数差5年に対して7号俸の差が設けられ、今日に至っている。
<旧教(二)初任給基準>
学歴免許 32.4.1 36.10.1
博士課程修了 (2等級7号俸) 2等級8号俸
修士課程修了 2等級4号俸 2等級4号俸
大学卒 2等級1号俸 2等級1号俸
短大卒 3等級4号俸 3等級4号俸
<旧教(三)初任給基準>
学歴免許 32.4.1 36.10.1
博士課程修了 (2等級9号俸) 2等級11号俸
修士課程修了 (2等級6号俸) 2等級7号俸
大学卒 2等級4号俸 2等級4号俸
短大卒 2等級1号俸 2等級1号俸
高校卒 3等級1号俸 3等級1号俸
( )は、修学年数調整による調整を加えた初任給基準
このとき何が行われたのかについては、佐藤三樹太郎『教職員の給与』(学陽書房)は沈黙している。
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