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242. 博士課程修了(その3) [31.博士課程修了]

 行政経営者協会から昭和37年7月に刊行された『給与制度の変遷から見た俸給決定の手引』という冊子がある。巻頭には、文部省大臣官房人事課長安達健二が、本書推薦の序文を寄せている。この冊子は、終戦から十余年間における目まぐるしい変遷をしてきた公務員給与制度に関して、実務上必要となる資料を収録し、若干の解説をしたものである。
 この冊子の「昭和36年切替えを中心として」と題する部分から、「初任給基準の博士課程修了」の理解に役立ちそうな箇所をいくつか拾ってみたい。

 「人事院規則、細則等にあつては、上述の改正に伴う修正は勿論として、大学卒をこえる学歴を有する者の初任給の引き上げが行われた。これは研究職俸給表における等級の組み替えとからんで、昭和36年10月1日における給与の動きを一層複雑にした。」

 昭和36年10月1日における人事院細則9-8-2改正部分(抜粋)を見ると、別表第25~28にわたって初任給基準表が収録されている。詳細は掲載できないが、別表のそれぞれは、教(一)、教(二)、教(三)及び研究職であり、大学卒との修学年数差5年に対して7号俸の差とする博士課程修了の基準などが新たに設けられたことが分かる。
 更に、人事院細則9-8-2の改正による俸給月額の調整についての解説で、次のように調整の性格を述べている。

 「昭和36年10月1日における初任給の改正は、大学卒(16年)の学歴を基準として、それ以上の修学年数を有する学歴所有者の初任給を、学歴差1年が給与上1.5号俸の較差を生ずるように引き上げたものである。したがつて、医大卒ならびに修士課程修了者にあつては1号俸、博士課程修了者にあつては2号俸、医大卒後の博士課程修了者にあつては3号俸の初任給増額が行われることとなつた。」

 現在、博士課程修了の初任給基準を有する俸給表を確認すると、旧教(二)(三)以外では、教(一)、教(二)、研究及び医(一)となっている。こうして眺めてみると、「初任給基準における博士課程修了」については、教育者、研究者、医師に共通する高学歴の者の待遇を改善するために、昭和36年10月1日に設けられたものであると推認できそうである。

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