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243. 博士課程修了(その4) [31.博士課程修了]

 博士課程修了者を優遇する初任給基準が設けられた経緯を明確に記した資料がなかなか見つけられないでいる。
 そこで、当時の人事院勧告を確認してみようと思う。博士課程修了の初任給基準が設けられたのは昭和36年10月なので、まず、その1年前の昭和35年の人事院勧告に関連する記述がないかを確認してみた。

「報 告
  四 官民給与の比較
 (略)
 この官民給与の比較において、特に医師および研究職について著しい給与格差が認められることを指摘するとともに、世論もあり、官民給与の較差を離れて、大学教授の給与改善の必要性のあることを指摘しなければならない。
 (略)
 以上に報告した諸事情を総合勘案して、民間給与との均衡、科学技術振興等の要請に基づき、この際一般職の国家公務員の給与について全面的且つ合理的な改善を必要とするものと認める。」
「勧 告
 (略)
1 俸給表  各俸給表をそれぞれ別紙のとおり改定し、且つ、各俸給表に定められた昇給期間をすべて12月とすること。
 (略)
3 初任給調整手当  科学技術振興の趣旨に沿い、初任給調整手当を新設すること。」

次に、昭和36年の人事院勧告を確認して見る。

「報 告
  二 官民給与の比較
(略)
 また、民間における初任給は、最近において特に上昇の傾向にあり、前述の民間給与調査によると、別表第二に示すとおり、一部のものを除き、いずれも、昨年4月に比べて本年4月は10%を上回る上昇を示している。
 (略)
 以上に報告した諸事情を総合勘案し、かつ、新規学卒者の採用の困難、科学技術振興の必要性等を考慮の上、この際初任給与の改善、中位等級以下の職員の給与の引上げおよび科学技術振興の趣旨に沿う給与の改善を中心とした俸給表の改定を行なうとともに、初任給調整手当について支給額の増加および支給対象の拡充を図る必要があると認められる。」

 昭和35年といえば、池田内閣の下で国民所得倍増計画が閣議決定された年であり、その後、日本経済は急激に成長していくことになる。そのような時代において、おそらくは、特に科学技術分野における公務への人材誘致が求められ、そのようなねらいをもって、医療、研究、教育の給与水準の引き上げが行われたのだろうと思われる。

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