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246. 博士課程修了(その6) [31.博士課程修了]

 博士課程修了者を優遇する初任給基準が設けられたのは、以前にも記したように、昭和36年10月1日の人事院細則9-8-2改正によってである。
 この頃の国会会議録を見ていくと、科学技術振興の観点から、研究職の給与の改善や医師の給与、民間よりも低い大学教授の給与などについて、繰り返し議論されている。その中から、当時の人事院給与局長滝本忠男が答弁している箇所を一つだけ紹介しておく。

 <参議院内閣委員会 昭和35年9月1日>
○説明員(滝本忠男君) もう何回も繰り返して申し上げ、はなはだ恐縮でございますが、二等級のこの対応等級といえば教育一と行一と研究職、医療ですが、これは御承知の通りでございます。教育職につきましては、これは人事院は特別な配慮をいたしております。人事院の判断によりまして、特別な配慮をいたしております。しかし、研究、医療については一緒にした、すなわち現在比較いたしますべきもので、あり得るものは全部包含して比較したということであります。それから六、七、八のところは、やはりこれは俸給表で全体的に比較し得るような大体対応等級と考えられているようなのは合わせて比較したということでございまして、別に意図的であるというふうには考えない。特に行一の中に技官がおるということは鶴園先生十分御存じの通りであります。今後科学技術を振興していく上に伴いまして、やはりこういう方々が研究職と同様に尊重されなければならぬと思うのであります。そういう観点からいたしますれば、現に研究とそれから教育の間、大学の間、それから研究と行一の間というのは、これは絶えず交流があるということは十分御承知の通りであります。そういうことを考えますると、やはりこれはわれわれがやっているのが決して不適当ではない、むしろ妥当している。やはり科学技術行政という点は、研究のみではなく行政部内における技官という問題も合わせ考えなければなりません。こういう点から人事院はいたしている次第でございます。その辺で御了承願いたいと思います。

 国会での議論は、上級の公務員に適用される行(一)の職務の級の改定率が下級の公務員に適用される職務の級の改定率に比べて格段に大きく、「幹部職員を不当に厚遇しているのではないか」といった観点からの指摘を巡ってなされている。しかし、いきさつは別にして、やはり、当時の社会経済情勢や民間賃金の動向を踏まえて、研究職、医療職、教育職の初任給基準の改善を行ったのであろうことは、まず、間違いないだろう。

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