250. 部活動指導と給与(その2) [32.部活動指導]
部活動の位置付けについては、東京都教育委員会の「部活動基本問題検討委員会報告書」(平成17年10月)によくまとめられている。この学習ノートの関心は、部活動指導の位置付けと給与上の評価との関係にあるので、この時点では、「部活動指導は教員でなくても可能」であることさえ確認できていればよい。
さて、少し古くなるが、糟谷正彦『校長・教頭のための学校の人事管理』(第四次改定新版、学陽書房、昭和61年)が示唆を与えてくれる。長くなるが、引用しておく。(300~301頁)鈴木勲『新訂学校経営のための法律常識』(第一法規、昭和61年)(236~237頁)にもほぼ同様の記述があるが、糟谷の方がより明確に問題点を指摘している。
「施行上の基本的な問題点
ここで基本的に問題となるのは、いわゆる超勤の歯止めの項目との関連である。右の①と②については、訓令第四条第五号および第二号に該当するので超勤を命じうることが明らかであり問題はないが、③と④については問題が残る。たとえば、日曜日に高等学校野球連盟主催の大会などへの引率を命じることができるのかについては、必ずしも明らかではない。
日教組の見解
この点についての日教組の見解は、「教特法条例制定において確定した超勤限定項目以外となっている〝対外運動競技等″については、超勤命令は出すことはできない。分会および本人の同意があった場合にのみ命令し得る契約業務であることを明確にすること」とし、「これらの業務を自由意思で契約する場合に、手当支給と代休日を認めることを前提として、合意契約する必要がある」とし、さらに、これらの業務は「職務ではないのであるから〝振り替え″や〝割り振り変更″の対象にならないという見解に立つ」としているのである。しかし、本来の職務でないものが合意することで職務となり、それに教員特殊業務手当という給与を支給するという論法にはやや無理があろう。現行制度では、職務でないものに給与は支給できないので、このような場合には非常勤の委員を兼務させて報酬を出すという形式をとることになっているのである(地自法二〇三①)。
人事院の見解
また、人事院も、この点について、教員特殊業務手当の支給の対象となる業務には、正規の勤務時間内の勤務および時間外勤務命令にもとづく勤務のほか、勤務時間外のものであっても学校が計画し実施するものと認められるもので、その業務の執行方法、成果の報告などについての校長の指示に従い、校長が費任をとりうる態勢の下に実施されるものも含まれると解しているようである。しかし、勤務を要しない日にこのような態様の業務に従事することが、まさしく時間外勤務そのものであると思われるので、その説明にもやはり無理があるといえるのではなかろうか。
そこで、端的に、前に例示したような超勤の歯止め項目以外の業務であつても、教員特殊業務手当の支給対象となるものについては、教員の職務として旅行命令を出せるし、また事故があったような・場合には、公務上の災害として扱うことができると解釈するのが妥当であろう。」
さて、少し古くなるが、糟谷正彦『校長・教頭のための学校の人事管理』(第四次改定新版、学陽書房、昭和61年)が示唆を与えてくれる。長くなるが、引用しておく。(300~301頁)鈴木勲『新訂学校経営のための法律常識』(第一法規、昭和61年)(236~237頁)にもほぼ同様の記述があるが、糟谷の方がより明確に問題点を指摘している。
「施行上の基本的な問題点
ここで基本的に問題となるのは、いわゆる超勤の歯止めの項目との関連である。右の①と②については、訓令第四条第五号および第二号に該当するので超勤を命じうることが明らかであり問題はないが、③と④については問題が残る。たとえば、日曜日に高等学校野球連盟主催の大会などへの引率を命じることができるのかについては、必ずしも明らかではない。
日教組の見解
この点についての日教組の見解は、「教特法条例制定において確定した超勤限定項目以外となっている〝対外運動競技等″については、超勤命令は出すことはできない。分会および本人の同意があった場合にのみ命令し得る契約業務であることを明確にすること」とし、「これらの業務を自由意思で契約する場合に、手当支給と代休日を認めることを前提として、合意契約する必要がある」とし、さらに、これらの業務は「職務ではないのであるから〝振り替え″や〝割り振り変更″の対象にならないという見解に立つ」としているのである。しかし、本来の職務でないものが合意することで職務となり、それに教員特殊業務手当という給与を支給するという論法にはやや無理があろう。現行制度では、職務でないものに給与は支給できないので、このような場合には非常勤の委員を兼務させて報酬を出すという形式をとることになっているのである(地自法二〇三①)。
人事院の見解
また、人事院も、この点について、教員特殊業務手当の支給の対象となる業務には、正規の勤務時間内の勤務および時間外勤務命令にもとづく勤務のほか、勤務時間外のものであっても学校が計画し実施するものと認められるもので、その業務の執行方法、成果の報告などについての校長の指示に従い、校長が費任をとりうる態勢の下に実施されるものも含まれると解しているようである。しかし、勤務を要しない日にこのような態様の業務に従事することが、まさしく時間外勤務そのものであると思われるので、その説明にもやはり無理があるといえるのではなかろうか。
そこで、端的に、前に例示したような超勤の歯止め項目以外の業務であつても、教員特殊業務手当の支給対象となるものについては、教員の職務として旅行命令を出せるし、また事故があったような・場合には、公務上の災害として扱うことができると解釈するのが妥当であろう。」
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