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262. 教(二)(三)の給与水準と加算割合(その4) [33.給与水準と加算割合]

 さて、俸給制度表により格合わせをしつつ役職段階別加算割合の措置状況を比較してみる。医療職については、医療(一)と医療(二)(三)で職務の級の構造が大きく異なる。医療(一)については、教育や研究に比較的近い構造となっている。
 医療(二)(三)の加算割合を確認すると、以前も言及したが、若干優遇されている。それに引き換え、教育の場合は、教(二)(三)とそれ以外とでは様相が異なるのだが、行(一)と比較すると、職務の級によっては、その給料水準に対して役職段階別加算割合の措置状況が明らかに低くなっている。
 その理由を人事院は説明していない。しかたがないので、すべての俸給表を比較していく。すると、「原則として行政職俸給表(一)の四級に相当する職務の級以上の職務の級に在職する職員が対象」と人事院が説明するとおり、職務の級の構造が同じかよく似通っている俸給表は原則どおりとなっており、職務の級の構造が異なる俸給表は例外と考えた方がよさそうである。
 それは、係長級相当以上の役付者であるのかどうかを基本にして判断しつつ、3級以下であっても部下を有する役付者に当たれば適用することとし、部下を有する役付者には当たらない医療・教育・研究の専門職については、4級のラインで一律適用するのではなく、若干送らせることでバランスがとれると考えたのだろう。そのラインは、前回確認したように基本は5級のラインであるが、教(二)(三)2級については、何らかの理由により5級のラインを7級のラインまで5年分送らせたように思うのである。この5年遅れの理由を人事院は説明していないが、以前、この学習ノートでは、「4%の教職調整額を考慮したのではないか」との仮説を示しておいた。

 ここで、視点を変えて考察をしてみたい。役職段階別加算措置を5%、10%、15%、20%の4段階としたことによる制約についてである。
 行(一)については、4級以上の職務の級が8段階あることから、ちょうど2つの職務の級ごとにまとめたことになる。しかし、それは必ずしも職制の段階と一致していない。本省庁、管区機関、府県単位機関、地方出先機関で職制と職務の級の関係は異なっている。詳細は省くが、この中では、管区機関の職制がこの4段階にピッタリ一致している。すなわち、管区機関における係長は5%、課長補佐は10%、課長は15%、機関の長又は部長は20%である。
 職制の段階が少なく、職務の級も4~5の教育や研究の場合には、相当する行(一)の職務の級は参考にはしているものの、まずは、職制の段階に応じて、基本となる加算割合を割り振っている。
 単純化すると、まずは次のように加算割合を配分する。

<教育・研究の加算割合の基本区分>
 教(一) 教授(5級)=15%、助教授(4級)・講師(3級)=10%、助手(2級)=5%
 教(二) 校長(4級)=15%、教頭(3級)=10%、教諭(2級)=5%
 教(三) 校長(4級)=15%、教頭(3級)=10%、教諭(2級)=5%
 教(四) 校長(5級)=20%、教授(4級)=15%、助教授(3級)=10%、講師(2級)=5%
 研究  極高研究員(5級)=15%、特高・高度研究員(4級・3級)=10%、相高研究員(2級)=5%

 その後に、「また、大学の学部長等、小・中・高校の校長のうち学校規模等からみて著しく職責が高い者、研究機関の部長級以上の者、病院、療養所等の部長級以上の者等その職責が高いと評価される者については、行政職俸給表(一)の適用を受ける職員との均衡等を考慮して、その者の属する職務の級について定められている加算割合の一段階上位の加算割合とする」こととしたのである。
 しかし、「一段階上位の加算割合」とすることで、行(一)と比較して遜色のない加算割合になっているのかどうかは、受け取る者によって違うだろうが、4段階の区分という制約からは逃れることはできないものとなっている。結局、この加算割合の4段階の区分に制約された結果として、給料水準における行(一)とのバランスが崩れることとなったと理解できる。(くどいようだが、教(二)(三)の5年遅れ問題は、他の特別俸給表を見ても理由が見いだし得ないので、やはり別の観点から均衡を図ったとしか考えられない。)

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