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272.22年俸給表改定(その6) [34.22年俸給表改定]

 さて、今年も政令市人事委員会から勧告が出始めた。 各県人事委員会の勧告はこれからだが、小中学校教育職給料表等については、おそらく例年どおり全人連モデルに準じて改定するところが多いと思われる。
 今年の全人連によるモデル給料表については、9月当初に各県人事委員会に送付され、9月7日ごろまでには教職員組合に対しても提示されたようである。 某県教職員組合では、その内容を公表している。

 ところで、前回までのノートで、旧教(二)(三)の改定に当たっての論点を示しておいた。一つは、「50歳台後半層の職員の給与の抑制措置」の対象となる行政(一)6級に相当する旧教(二)(三)の職務の級は何級か、二つ目は、引き下げの対象とする「40歳台の職員が受ける号俸以上の号俸」に関して、特2級以上の職務の級は何号俸以上と見るのか、三つ目は、行(一)との均衡を考慮して行う旧教(二)(三)の各号俸の具体的な改定手法は、教(一)の改定手法と同じになるであろうということであった。
 以下、この点について、モデル給料表によって確認していきたい。

 まず、「50歳台後半層の職員の給与の抑制措置」の対象となる行政(一)6級に相当する職務の級については、以前の考察で、役職段階別加算割合が15%以上である職務の級ではないかという仮説を示しておいた。 モデルによって示された行政(一)6級に相当する旧教(二)(三)の職務の級を確認すると、いずれの俸給表も4級であった。 ただ、全人連から委託を受けた人事行政研究所が説明しなかったからだろうと推測するが、残念なことに、理由は示さず答えだけを勧告したものとなっている。

 次に、引下げの対象とする「40歳台の職員が受ける号俸以上の号俸」について、以前の考察では、平成21年改定において特2級の制度年齢30歳の位置を昇格対応関係で作成すると「1年遅れ」となったことをどのように考えるのだろうかとの疑問を示しておいた。 この点については、平成21年改定と異なり、昇格対応関係から得られた特2級初号の制度上の位置をもって制度年齢40歳に当たる号俸以上の号俸が今回の引下げ改定の対象となっていた。 なぜ昨年と違うのかについては分からないが、毎年の改定方法を毎回追いかける中で、人事院のノウハウを推定していくしかないだろう。

 3点目の行(一)との均衡を考慮して行う旧教(二)(三)の各号俸の具体的な改定手法については、予想どおり、教(一)の改定手法と基本的には同じであった。 ただし、詳細に見ていくと、特2級の最高号俸付近の改定額が更に100円低い額になっている。 旧教(二)は105号俸(改定前446,500円)以上の号俸、旧教(三)は105号俸(改定前425,300円)以上の号俸について、何もなければ△500円とすべきところを、敢えて、△600円としているようなのである。 旧教(二)と旧教(三)では改定額の境目となる俸給月額はまったく違った金額であるが、号俸の制度上の位置は同じとなっている。 いったいどうしてなのだろうか。 その他の俸給表を見ても、このような号俸は存在しない。 特2級の号俸だけをどうしてこのように調整するのだろうか。 これについても、モデルは理由を示してはいない。 
 通常、俸給表を改定する際には、改定の基本方針に従って改定額を置いた後、昇格対応関係の双子三つ子の位置がずれないように配慮する。 しかし、号俸4分割後の俸給表の改定に当たっては、改定後の俸給表で原則どおりの昇格対応関係を確認してみて多少のズレが生じても、昇格加算額のない職務の級への昇格の場合を除いて、昇格時号俸対応表を改定しないこととなっている。 したがって、今回の改定でズレが更に広がることになるとは思うが、どのように取り扱われるのかは、人事院規則の取扱いが明らかになるのを待たなければならない。 しかし、旧教(二)(三)については、他の俸給表にない制度上の論点がある。 すなわち、教職調整額と3級加算額の存在である。
 そこで、特2級最高号俸の俸給月額に教職調整額を加算した額と3級最高号俸の俸給月額を比較してみたいと思う。

<旧教(二) 特2級最高号俸vs3級最高号俸>
  特2級109号俸 448,900円×1.04=466,856円
            →448,300円(△600円)×1.04=466,232円
  3級  77号俸 466,500円+7,700円=474,200円
            →465,800円(△700円)+7,700円=474,200円
<旧教(三) 特2級最高号俸vs3級最高号俸>
  特2級109号俸 427,500円×1.04=444,600円
            →426,900円(△600円)×1.04=443,976円
  3級  93号俸 437,000円+7,500円=444,500円
            →436,300円(△700円)+7,500円=443,800円
 
 これを見れば明らかなように、旧教(三)については、平成21年改定において既に両者の逆転は始まっていた。 特2級の改定率よりも3級の改定率の方がより厳しいマイナス改定率となっていることから、このような状況になるのは当たり前なのであった。 特2級の水準を2級と3級の中間水準に設定することとして創設されたはずであるのに、この間の改定によって、崩れているのである。
 このような退職手当を含む諸手当の基礎となるべき本俸的給与が逆転する状況は、俸給制度の在り方として望ましいものとは言えないはずである。 元々、旧教(三)の2級と3級の水準差が小さいところに、特2級を割り込ませたことから、無理が生じたのであろうと思う。 昇格時に逆転が生じる場合には、3級加算額を増額して調整する手法が従来から存在するのだが、最高到達号俸の水準が逆転するのはどうであろうか。 おそらく、人事行政研究所も分かっているはずである。 だからこそ、改定額△500円のところ更に△100円し、△600円とすることでもって、逆転による影響を少しでも縮小しようとしたのではないのだろうかと思うのだが…。
 ただ、各県の小中学校教育職給料表は、過去の経緯から、3級の号給を延長している場合がある。 特2級の最高号給はモデルどおりで、3級の最高号給を延長している場合には、前記の逆転問題は生じない。 3級の号給延長をせず、全人連のモデル給料表どおりとしている県は、何か手立てを講じるのであろうか、それともこの問題を放置するのであろうか…。

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