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277.へき地手当(その4) [35.へき地手当]

 今回は、昭和33年のへき地教育振興法の一部を改正する法律案の提案理由について、同年4月17日の参議院文教委員会の会議録から引用しておきたい。

 「○秋山長造君 ただいま議題となりましたへき地教育振興法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表いたしまして、提案の理由と内容の概略を御説明申し上げます。
  へき地教育振興法は、憲法に規定まれております教育の機会均等の趣旨にのっとり、僻地における教育を振興する目的をもって、積極的な対策を講ずるため、去る第十九回国会において制定されたのであります。
  しかるに、本法施行以来、すでに四カ年になんなんといたしておりますにもかかわらず、僻地におきましては、小規模学校が多数を占めております関係上、依然としてその施設設備の整備は不十分であり、しかも、教職員を確保することも容易でないという現状であります。
  さきに、本法成立の際、本院文部委員会は、僻地教育に対する総合的、恒久的振興策を樹立することの付帯決議をいたしておりますが、この決議の趣旨にかんがみ、今回、国の地方公共団体に対する補助の対象を拡大するとともに、へき地学校に勤務する教員及び職員の特殊勤務手当の増額その他の措置を講じて、僻地における教育の振興をはかることが必要であると考えまして、ここにこの改正案を提出いたした次第であります。
  改正案の内容のおもな点について申し上げますと、まず第一点は、へき地学校の定義であります。すなわち、現行法におきましては、「交通困難で自然的、経済的、文化的条件に恵まれない山間地、離島その他の地域に所在する公立の小学校及び中学校をいう。」とあり、交通困難という大前提のもとに、自然的、経済的、文化的僻地性を形成している各要素が、その条件となっておりますので、へき地学校がまず交通の困難性によって決定されている現況でありますが、このことは、必ずしも実態に沿わない点もありますので、僻地性を形成している諸条件と交通条件とを並列させるよう改めたことでございます。
  第二点は、市町村の任務としてへき地学校の健康管理及び通学改善につき義務規定を設けるとともに、へき地教育の振興をはかるための事務について都道府県の任務を明確にしたことでございます。
  第三点は、へき地学校指定基準を文部省令で定めることとし、新たに、僻地手当支給に関する規定を設けるとともに、その僻地手当手給についての都道府県がよるべき基準を定めたことでございます。
  第四点は、市町村が行う事務に要する経費及び都道府県が行う事務のうち、へき地学校に勤務する教員の養成施設に要する経費について、国の補助率を、それぞれ二分の一と明確に規定したことでございます。
  なお、附則におきまして、施行期日を昭和三十四年四月一日とし、本法改正後、都道府県が僻地手当に関する条例を制定するに当っては、従前の特殊勤務手当の月額より低額であるものを生じたときには、受給者に不利益な結果とならぬよう当該条例を定めるように規定いたしました。
  以上が、この法案の提案理由とその内容の概要でございます。何とぞすみやかに御審議の上、御賛同賜わりますようお願い申し上げます。」

 衆議院文教委員会では、同年4月23日に提案理由の説明が行われた。

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