281.へき地手当(その6) [35.へき地手当]
「へき地手当(その5)」では、全国へき地教育連盟発行『へき地教育の振興』に収録されている「三十五年四月、給実甲による人事院基準は文部省令の影響を受けて手直しされたが、教育公務員の特殊性を強調した「付加点」による両者の差は依然として残されている」という記述を紹介した。
今回は、その「両者の差」について、当時の基準を概観し、比較しておく。 隔遠地手当については、「隔遠地手当支給官署の指定基準について」(昭35給実甲第171号)による。
まず、指定基準を比較する。
<隔遠地官署の指定基準>
40点以上80点未満 1級地
80点以上120点未満 2級地
120点以上160点未満 3級地
160点以上200点未満 4級地
200点以上 5級地
<へき地学校の指定基準>
40点から79点までの学校 1級
80点から119点までの学校 2級
120点から159点までの学校 3級
160点から119点までの学校 4級
200点以上の学校 5級
隔遠地官署は、評価点数表による取得点数により、へき地学校は、基準点数と付加点数との合計点数に応じて区分を決定するが、表現は異なるものの点数による指定区分は同じである。
次に、陸地用基準点数表を比較する。便宜上、各要素の最高点数と最高点数を取得できる距離を抜き出すこととする。Aは交通機関のない部分、Bは交通機関のある部分を示す。(島用基準点数表の比較は省略する。)
<隔遠地官署の陸地用基準点数>
駅又は停留所までの距離(A) 120点(40km)
医療機関までの距離(A) 24点(16km)
医療機関までの距離(B) 21点(48km)
高等学校までの距離(A) 12点(12km)
高等学校までの距離(B) 12点(44km)
小・中学校までの距離(A) 6点(12km)
小・中学校までの距離(B) 6点(44km)
郵便局までの距離(A) 12点(20km)
郵便局までの距離(B) 12点(36km)
役場までの距離(A) 6点(20km)
役場までの距離(B) 6点(24km)
<へき地学校の陸地用基準点数>
駅又は停留所までの距離(A) 120点(40km)
医療機関までの距離(A) 24点(16km)
医療機関までの距離(B) 21点(48km)
高等学校までの距離(A) ★18点(12km)
高等学校までの距離(B) ★18点(44km)
小・中学校までの距離(A) ★要素なし
小・中学校までの距離(B) ★要素なし
郵便局までの距離(A) 12点(20km)
郵便局までの距離(B) 12点(36km)
役場までの距離(A) 6点(20km)
役場までの距離(B) 6点(24km)
へき地学校の基準点数には、当然ながら「小・中学校までの距離」の要素はない。その分、「高等学校までの距離」の要素が加算されている。その他は、全く同じである。
次に、付加点数を比較する。隔遠地官署指定基準は、加点表を定めている。ただし、隔遠地官署の方は、へき地学校指定基準における基準点数の補正に当たるものがあるので、該当する要素は除くこととする。
<隔遠地官署の加点表>
無電灯 20点
準無電灯 10点
集落状況(4km以内に1戸もない) 20点
集落状況(4km以内に10戸以内) 10点
単独勤務(集落点数のつく場合) 5点
飲料水(50%以上天水・川水) 10点
電話が利用できない場合 10点
<へき地学校の付加点数>
電気が供給されていない場合 20点
電気の供給が時間的に制限されている場合 10点
ラジオ等の視聴覚教材の使用が困難である場合 10点
電話が設置されていない場合 10点
飲料水を主として天水又は川水頭から求めなければならない場合 10点
不健康地(有毒ガス発生、風土病、湿潤、極寒、多雪等) 10点
児童生徒総数の3割以上が通学距離6km以上 10点
児童生徒総数の3割以上が通学距離4km以上 5点
教科用図書、学用品等の購入地までの距離が6km以上 10点
教科用図書、学用品等の購入地までの距離が4km以上 5点
生活保護における教育扶助の割合が児童生徒総数の3%以上 10点
教員の数(1人) 10点
教員の数(2人) 5点
教職員住宅の不足(半数以上が借家等) 10点
分校である場合、本校との距離が12km以上 10点
分校である場合、本校との距離が8km以上 5点
隔遠地官署及びへき地学校それぞれについて、全要素において最大点が加点された場合の合計点数を計算すると、隔遠地官署は65点となるが、へき地学校は100点となる。
『へき地教育の振興』には「教育公務員の特殊性については、他の公務員との均衡もあるので、それを付加点数によって強調しようという考え方が採用された」との記述があったが、記述どおり、付加点数に教育の観点を盛り込みつつ、他の公務員よりも優遇する指定基準となっていたことが確認できた。
今回は、その「両者の差」について、当時の基準を概観し、比較しておく。 隔遠地手当については、「隔遠地手当支給官署の指定基準について」(昭35給実甲第171号)による。
まず、指定基準を比較する。
<隔遠地官署の指定基準>
40点以上80点未満 1級地
80点以上120点未満 2級地
120点以上160点未満 3級地
160点以上200点未満 4級地
200点以上 5級地
<へき地学校の指定基準>
40点から79点までの学校 1級
80点から119点までの学校 2級
120点から159点までの学校 3級
160点から119点までの学校 4級
200点以上の学校 5級
隔遠地官署は、評価点数表による取得点数により、へき地学校は、基準点数と付加点数との合計点数に応じて区分を決定するが、表現は異なるものの点数による指定区分は同じである。
次に、陸地用基準点数表を比較する。便宜上、各要素の最高点数と最高点数を取得できる距離を抜き出すこととする。Aは交通機関のない部分、Bは交通機関のある部分を示す。(島用基準点数表の比較は省略する。)
<隔遠地官署の陸地用基準点数>
駅又は停留所までの距離(A) 120点(40km)
医療機関までの距離(A) 24点(16km)
医療機関までの距離(B) 21点(48km)
高等学校までの距離(A) 12点(12km)
高等学校までの距離(B) 12点(44km)
小・中学校までの距離(A) 6点(12km)
小・中学校までの距離(B) 6点(44km)
郵便局までの距離(A) 12点(20km)
郵便局までの距離(B) 12点(36km)
役場までの距離(A) 6点(20km)
役場までの距離(B) 6点(24km)
<へき地学校の陸地用基準点数>
駅又は停留所までの距離(A) 120点(40km)
医療機関までの距離(A) 24点(16km)
医療機関までの距離(B) 21点(48km)
高等学校までの距離(A) ★18点(12km)
高等学校までの距離(B) ★18点(44km)
小・中学校までの距離(A) ★要素なし
小・中学校までの距離(B) ★要素なし
郵便局までの距離(A) 12点(20km)
郵便局までの距離(B) 12点(36km)
役場までの距離(A) 6点(20km)
役場までの距離(B) 6点(24km)
へき地学校の基準点数には、当然ながら「小・中学校までの距離」の要素はない。その分、「高等学校までの距離」の要素が加算されている。その他は、全く同じである。
次に、付加点数を比較する。隔遠地官署指定基準は、加点表を定めている。ただし、隔遠地官署の方は、へき地学校指定基準における基準点数の補正に当たるものがあるので、該当する要素は除くこととする。
<隔遠地官署の加点表>
無電灯 20点
準無電灯 10点
集落状況(4km以内に1戸もない) 20点
集落状況(4km以内に10戸以内) 10点
単独勤務(集落点数のつく場合) 5点
飲料水(50%以上天水・川水) 10点
電話が利用できない場合 10点
<へき地学校の付加点数>
電気が供給されていない場合 20点
電気の供給が時間的に制限されている場合 10点
ラジオ等の視聴覚教材の使用が困難である場合 10点
電話が設置されていない場合 10点
飲料水を主として天水又は川水頭から求めなければならない場合 10点
不健康地(有毒ガス発生、風土病、湿潤、極寒、多雪等) 10点
児童生徒総数の3割以上が通学距離6km以上 10点
児童生徒総数の3割以上が通学距離4km以上 5点
教科用図書、学用品等の購入地までの距離が6km以上 10点
教科用図書、学用品等の購入地までの距離が4km以上 5点
生活保護における教育扶助の割合が児童生徒総数の3%以上 10点
教員の数(1人) 10点
教員の数(2人) 5点
教職員住宅の不足(半数以上が借家等) 10点
分校である場合、本校との距離が12km以上 10点
分校である場合、本校との距離が8km以上 5点
隔遠地官署及びへき地学校それぞれについて、全要素において最大点が加点された場合の合計点数を計算すると、隔遠地官署は65点となるが、へき地学校は100点となる。
『へき地教育の振興』には「教育公務員の特殊性については、他の公務員との均衡もあるので、それを付加点数によって強調しようという考え方が採用された」との記述があったが、記述どおり、付加点数に教育の観点を盛り込みつつ、他の公務員よりも優遇する指定基準となっていたことが確認できた。
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