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282.へき地手当(その7) [35.へき地手当]

 前回、昭和35年当時のへき地学校等指定基準と隔遠地手当支給官署指定基準との比較を行った。
その後、昭和45年には、給与法が改正されて、隔遠地手当は特地勤務手当に名称が変えられ、級地区分も1~5級地が1~6級地に拡大された。これに伴い、へき地手当も改正され、へき地学校に準ずる学校に対しても手当を支給することとなったのである。
 なお、隔遠地手当の特地勤務手当への改正後は、特地官署指定基準が公表されなくなったことから、その後の指定基準の変遷が分かりにくく、両基準の比較考察を行おうとする「学習ノート」にとっては、面白くない状況である。

 昭和63年4月19日付けの「内外教育」誌に「へき地指定の見直し」と題した記事が掲載されている。以下、記事の前半部分を抜粋する。

○…へき地指定基準の見直しがいよいよ今年度から本格化する。文部省は近く都道府県教委にへき地校の実態調査を依頼、七月中旬までにデータを集めて分析し、十二月を目途に指定基準(へき地教育振興法施行規則)を改正するというスケジュールである。
○…同問題の発端は、六十一年十二月に会計検査院がへき地校のサンプリング調査に基づいて文部省に処置要求を行ったことである。要求は大きく分けて二点。一つは、四十七年の改正以来、へき地の条件が変わっているのに指定基準に見直しの規定がなく、文部省も各都道府県に適切な指導をしていないこと。もう一つは、へき地手当にかかわる級別指定(一~五級)を適正にすること。文部省は、この処置要求に対応するため昨年、へき地教育振興法施行規則を改正し、適正なへき地指定をするとともに、六年ごとに指定を見直すよう、各都道府県に通知を出した。しかし、これは暫定措置で、指定基準の本格的な見直しは、今年度ということになる。

 続く同年4月26日付けの「内外教育」誌では、「へき地指定基準、今年中にも改正へ」との見だしを付けて、文部省が各都道府県に実態調査を依頼したことを報道している。

 文部省はこのほど、離島や山間地などの学校の教職員に支給するへき地手当(最高で二五%)の算定基礎となるへき地指定基準(へき地教育振興法施行規則)を今年中に改正、来年四月から適用する方針を固めた。このため各都道府県にへき地学校実態調査を七月中旬までに実施するよう依頼した(四月十九日付「ラウンジ」欄参照)。交通機関の整備などでへき地学校の周辺が変化しているのを踏まえ、実態に合わせた新しい指定基準を定めようとの狙いで、指定基準の改正は四十七年以来のこととなる。
 (中略)
 これを受けて文部省は、六十二年度に全国で約六千三百校に上るへき地学校の実態と級別指定状況を予備的に調査したところ、会計検査院の調査と同様、ほぼ半数が実際より高い級別指定となっていた。(略)ただ実態に合わせて指定を見直すと、現行の級別より二段階以上変動する場合もあるため、規則改正では六十三年度は激変緩和の特例措置を講じることとしている。具体的には指定見直しで現行の指定級別より二段階以上変動する場合は一段階のみの変動に、一段階の変動は現行指定級別の据え置きとすることになっている。

 同記事によれば、「指定基準の改定に当たっては、…人事院が五十四年度に見直ししていることも勘案するとしている」とある。
 少なくとも、文部省は15年以上にわたってへき地学校の指定基準を見直すことなく、放置していたということであったらしい。

 平成元年のへき地学校指定基準の主な改正点を挙げておく。
1 基準点数の改正
  陸地用基準点数表(別表一)では、特地官署指定基準に合わせた要素の追加や市町村教育委員会までの距離の点数を約2倍引き上げている。
2 付加点数の改正
  文化的諸条件の変化に対応して、該当校が著しく減少し、へき地度を測る要素としては不適当な「電気の供給状況」、「電話の設置状況」などといった要素を廃止している。
  新たな要素として、「文化施設までの距離」及び「食料品・日用品等の購入地までの距離」を加えている。
3 級地点数の改正
  1級地の最低点数を特地官署指定基準に準じて、5点引き上げ45点以上としている。


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