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283.へき地手当(その8) [35.へき地手当]

 特地勤務手当については、その後、平成10年4月に特地官署指定基準の改正が行われたようである。一方、へき地手当については、平成11年に文部省が各都道府県に依頼して調査を実施したが、結局、特地官署指定基準の改正に見合ったへき地学校指定基準の見直しは行われなかった。以来、平成21年省令改正まで、へき地学校指定基準と特地官署指定基準とは大きく異なる状況となったのである。

 特地勤務手当は、平成22年4月に特地官署等の見直しが実施された。その際、従来の指定基準が抜本的に改正され、従来の点数に基づく級地指定から、本土に所在する官署で言えば、官署と最寄りの人口集中地区等との間における所要時間に基づく級地指定に変わった。一足飛びにこの基準とは比較できないので、平成22年改正前の旧指定基準、すなわち平成10年4月の旧基準を取り上げる。

<旧特地官署等指定基準>
 220点以上         6級地(25%)
 180点以上220点未満 5級地(20%)
 140点以上180点未満 4級地(16%)
 100点以上140点未満 3級地(12%)
 70点以上100点未満  2級地(8%)
 50点以上70点未満   1級地(4%)

次に、へき地学校の指定基準を確認する。

<へき地学校等指定基準>
 200点以上         5級(25%)
 160点以上199点以下 4級(20%)
 120点以上159点以下 3級(16%)
 80点以上119点以下  2級(12%)
 45点以上79点以下   1級(8%)
 35点以上44点以下   へき地学校に準ずる学校(4%)

 ( )内は、平成14年の地方分権改革推進会議の意見等を踏まえて措置された「支給割合の弾力化」以前の級別支給割合である。

 両者の基準を比べると、へき地学校等指定基準は、旧特地官署等指定基準よりも15点乃至25点有利になっていたことが分かる。少なくとも、平成10年4月から10年間は、各要素の点数を取り上げるまでもなく、合計点数による級地区分の基準それ自体、へき地学校の指定の方が有利になっていたのである。
 昭和35年当時を振り返ると、「三十五年四月、給実甲による人事院基準は文部省令の影響を受けて手直しされた」のであるが、その後は、人事院が主導的に指定基準の見直しを行い、文部省は、人事院の昭和54年改正を踏まえつつ平成元年に指定基準を改正したのであった。ところが、文部省は、人事院の平成10年改正に対しては、一応予備的調査は行ったものの、おそらくは影響の大きさに鑑みて、へき地学校指定基準の改正を見送ったのではないかと思われる。その結果、級地区分の指定基準は同一で、各点数表の構成もほぼ同じであるが、「教育公務員の特殊性を強調した「付加点」による両者の差は依然として残されている」という昭和35年当時の様相とは、著しく異なる状況になっていたのである。

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