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292.昇格制度の見直し-2012人事院勧告 [37.昇格制度の見直し]

 昨年11月のノートを書いて以降、次のテーマをどうするか迷っていた。このノートに書き綴ることであれこれ考察を初めて5年以上が経過した。この辺りで、これまでの考察の到達点になるような中間まとめをすべきではないか、と思う。ただ、それは、おそらく俸給表の設計思想とフレームワークを記述することになるのだが、現状ではそのための時間が作れていない。

 さて、去る8月8日、人事院は平成24年の給与勧告を行った。本年は、官民較差が小さいことや、給与改定・臨時特例法に基づく減額が行われていることを踏まえ、俸給表改定は勧告されなかった。旧教育職俸給表(一)(二)の作成を中心テーマとするこの学習ノートにとっては、俸給表の改定がなければこれまでの検証もできないのだが、今年の勧告・報告には、このノートにとっても大変興味のある内容が盛り込まれている。「昇格制度の見直し」である。

<平成24年人事院報告(抜粋)>
ウ 昇格制度の改正
 現行の昇格制度においては、職務と責任に応じた給与の観点から、昇格に伴い俸給月額が増加するよう昇格後の号俸を設定している。地方機関等では、50歳台において上位の職務の級への昇格が多いという人事運用があり、このことが特に後半層における給与上昇の要因の一つとなっている。
 このため、最高号俸を含む高位の号俸から昇格した場合の俸給月額の増加額を縮減するよう昇格後の号俸を設定することとし、人事院規則に定める昇格時号俸対応表の見直しを行うこととする。行政職俸給表(一)の場合、3級以上の職務の級への昇格における号俸決定に当たり、昇格前の職務の級の高位の号俸から昇格する場合には現行より下位の号俸となるよう改正する。他の俸給表についても、同様の観点から改正を行う。

 考え方は分かるのだが、具体的にどのように見直すのかは分からない。人事院が職員団体に示した内容が分かっているので、それを確認しておく。

<「2012年度公務労協情報 №37」(2012.7.24)抜粋>
 昇格制度については、各職務の級の最高号俸を含めた上位17号俸(5基幹号俸分の号俸)から、初任の級を除く級に昇格する場合に決定される号俸について、昇格に伴う俸給額の上昇を抑制するため、昇格後の号俸を現行より下位の号俸に決定するものとする。具体的には、上位17号俸のうち、最高号俸付近から昇格する場合の昇格メリットの上限を8号俸とし、下位の号俸にいくに従い、抑制を徐々に緩和するように措置したいと考えている。

 すべての見直し内容までは分からないが、大体のところは分かる。これらにより、考察を進めてみようと思う。

 まず、最高号俸を含めた上位17号俸(5基幹号俸の号俸)から昇格する場合を見直し対象としている。これを俸給制度表により確認すると、大学卒制度年齢で51歳以上、高校卒制度年齢で52歳以上を基本とする制度年齢の号俸に該当することが分かる。過去に成績優秀により特別昇給を受けたことのある者については、40歳台でも影響が出る可能性がある。
 次に、初任給基準表に定めのある職務の級を除く級に昇格する場合を対象としている。人事院の報告では、「行政職俸給表(一)の場合、3級以上の職務の級への昇格における号俸決定」と明記している。これは、給与構造改革前の1号上位昇格制度の対象となる職務の級、すなわち、昇格加算額のある職務の級に昇格する場合としている。当然と言えば当然である。
 そして、「具体的には、上位17号俸のうち、最高号俸付近から昇格する場合の昇格メリットの上限を8号俸とし、下位の号俸にいくに従い、抑制を徐々に緩和する」としている。これだけでは、よく分からない。とある資料によれば、「昇格メリット8号俸」とは「直近上位方式による昇格後の号俸+8号俸」ということらしい。

 これでかなりの部分まで分かってきたが、なおいくつかの疑問が浮かぶ。思いつくままに挙げてみる。
 一つには、「昇格メリットの上限を8号俸」とするとしているが、8号俸未満、例えば、4号俸又は6号俸などとする場合はあるのか。実際の俸給の増加額を見てバランスを取るようなことはあるのかどうか。
 二つには、「直近上位方式による昇格後の号俸」が、双子、三つ子などの関係となっている場合には、おそらく上下均等を基本としてバランスをとると思われるが、実態にどのようにするのか。
 そのほか、基幹号俸以外の号俸から昇格した場合の昇格後の号俸はどのように決定するのか。

 以上、いくつか疑問があるのだが、旧教(二)(三)については、更に問題がある。すなわち、「3級昇格時の逆転問題にどのように影響を与えるのか」という点である。
 全人連が全国の人事委員会に示した旧教(二)(三)の昇格時号俸対応表は2種類ある。一つは本来的な昇格メリットを確保する昇格時号俸対応表であり、もう一つは特2級を2級及び3級の中間水準とする考え方に基づいて特2級創設前の昇格メリットを半分ずつに割り振った昇格時号俸対応表である。
 後者による昇格時号俸対応表を採用している団体が大半であると思われるが、本来的な昇格メリットが確保されていないことから、どのような見直し内容になるのか。
更に、特2級から3級に昇格する場合、旧教育(三)では既に現行でも本来型、半分型ともに逆転現象が生じているが、これが更に拡大するのは間違いないし、見過ごせない課題となるのは明らかである。見直し内容如何では、旧教育(二)においても逆転現象が生じることになるだろう。
 全国の人事委員会が示すこととなる旧教(二)(三)の昇格時号俸対応表に注目したい。

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