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358.総合的見直しと人件費削減(その2) [44.総合的見直しと人件費削減]

前回、総合的見直しと人件費削減にかかわって、国会での審議状況を引用してみたが、影響額をどうやって試算したのかは明らかにされてはいない。もちろんこのノートで試算することなどはとても無理なのだが、総合的見直しの実施がどうして人件費削減につながるのか、少し考えてみたい。

 給与制度の総合的見直しの内容を再確認しておくと、第一に地域間の給与配分の見直しであり、全国共通に適用される俸給表の水準の平均2%引下げを行うとともに、地域手当の見直しを行うなどの措置を講ずるものであった。
 第二は世代間の給与配分の見直しであり、50歳台後半層の給与水準の最大4%引下げ等を行うものであった。
 第三は職務や勤務実績に応じた給与配分であり、広域異動手当、単身赴任手当及び本府省業務調整手当の引上げ並びに管理職員特別勤務手当の見直しを行うものであった。

 次に、26年人事院勧告の参考資料「1 国家公務員給与関係」から考えてみるのに参考になりそうな数値を思いつくままにピックアップしてみよう。
 行(一)の適用人数は約14万1千人で、全俸給表適用人数25万5千人の約55%となっている。
 平均給与月額をみると、行(一)の平均給与月額は408,472円で、うち俸給は335,000円、手当は73,472円で約18%を占めている一方、全職員では415,426円、うち俸給は344,668円、手当は70,758円で約17%を占めている。
 組織区分別では、本府省の平均給与月額は443,084円、平均年齢は40.6歳、以下、管区機関413,734円、44.6歳、府県単位機関391,673円、44.8歳、その他の地方支分部局392,624円、44.7歳、施設等機関等360,880円、40.1歳となっている。
 俸給の特別調整額の受給者は合計で42,083人、単身赴任手当の受給者は合計で20,575人、本府省業務調整手当の受給者は合計で35,206人
 地域手当の支給状況をみると、東京都の特別区が指定されている1級地(18%→20%)の人員は62,489人(24.5%)、一方、新潟市と徳島市が3%に引き上げられる非支給地の人員は73,448人(28.8%)となっている。
 なお、国家公務員は一般職及び特別職を合わせて約64.1万人となっている。このうち、一般職は34.3万人、特別職は29.8万人となっている。(特別職の大半を占める自衛官は約24万人ということらしい。)

 これらを見ると、朧気ながら見えてくる姿がある。
 給与法適用職員は本府省職員より地方勤務の職員の方が高齢化が進んでおり、俸給表引下げによる影響度合いは大きいと思われること。
 地域手当の引上げは特別区と大都市が中心になっており、地域手当支給割合が据置きになる地域の人員はおそらく3~4割あるだろうと思われること。
職務や勤務実績に応じた給与配分については、本府省職員や広域異動等を行う職員が中心の改善と考えられることから、地方勤務の職員への恩恵は少ないと思われること。
 自衛官は全国各地で勤務していると思われ、そうすると、自衛官については、俸給表引下げが直撃し、地域手当引上げや他の手当引上げでカバーされない人員が多いのではないか、と思われること。
 こうやって見ていくと、おそらく、行(一)適用職員とその他の国家公務員とでは、勤務地域の人数比がかなり違っているのではないかと思われ、それが人件費削減に一番大きく影響しているように想像するのである。

 昨日引用した10月31日の衆議院内閣委員会の会議録に次のような箇所がある。同じく佐々木氏が「総合的見直しによって、給与が上がる職員、変わらない職員、下がる職員、それぞれ何人か、全体に占める割合は何%か」と質問したことに対する古屋人事院事務総局給与局長の回答である。

○古屋政府参考人 お答えいたします。
 お尋ねの、俸給水準がどうなるかということでございます。
 一般職の給与法が適用される職員につきまして、俸給水準が一律二%引き下がるものとして試算いたしまして、俸給月額と地域手当で見た場合に、給与水準が引き上げとなる職員につきましては四万五千八十九人で一七・七%、おおむね維持となる職員につきましては六万七千百三十九人、二六・三%、それから引き下げとなる職員は十四万三千四十九人で五六%となっておるところでございます。

 俸給引下げと地域手当引上げに着目して、給与水準が上がるものが17.7%であるのに対して、下がるものは56%に及ぶ、というのである。差し引き、4割近い数字になる。
 荒っぽい計算をしてみる。平均給与月額41.5万円×▲2%×(12月+4.1月)×給与法適用職員27.5万人×40%=約▲147億円…。この式に、給与法適用職員と一般職の国家公務員34.3万人とを入れ替えると、約▲183億円…。これに共済負担金なども算定に含めないといけない。
 そうすると、昨日引用した衆議院内閣委員会での西田財務省主計局次長の回答、「一般職の国家公務員については、▲200億円程度の人件費削減効果」とだいたい合ってくる。

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