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361.総合的見直しと人件費削減(その5) [44.総合的見直しと人件費削減]

 前回、給与制度の総合的見直しにかかわって、「地域の民間均衡が確保できなくなるのではないか」と指摘し、踏み込んだ主張をしてみたのだが、改めて、国が地方を指導している内容をもう少し正確に確認しておきたい。

 まず、公務員の給与改定に関する取扱いについては、人事院勧告を受けて、政府の方針を閣議で決定しているのだが、この中で、地方公務員の給与改定にかかわる政府の地方に対する関与の方針が示されている。

○公務員の給与改定に関する取扱いについて(平成26年10月7日、閣議決定)抜粋
1 一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける国家公務員の給与については、去る8月7日の人事院勧告どおり、平成26年度の給与改定を行うとともに、地域間・世代間の適正な給与配分等の実現を図る観点からの給与制度の総合的見直しを実施するものとする。
4 地方公務員の給与改定については、各地方公共団体において、地方公務員法の趣旨に沿って適切に対応するとともに、厳しい財政状況及び各地方公共団体の給与事情等を十分検討の上、既に国家公務員又は民間の給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、その適正化を図るため必要な措置を講ずるよう要請するものとする。
 また、国家公務員における給与制度の総合的見直しを踏まえ、地方公務員給与についても、人事委員会機能を発揮することなどにより地域民間給与のより的確な反映など適切に見直しを行うよう要請するものとする。

 次に、この閣議決定の方針に従い、法令に基づく地方への関与として総務省が都道府県知事等に対して通知文書を発出しているので、給与制度の総合的見直しにかかわる部分を抜粋してみる。これは、地方公務員法第59条及び地方自治法第245条の4に基づく助言として行われているものである。

○地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて(平成26年10月7日付け総行給第70号都道府県知事等あて総務副大臣通知)抜粋
第2 給与制度の総合的見直しについて
 国家公務員の給与においては、地域ごとの民間賃金の水準のより的確な公務員給与への反映や官民の給与差を踏まえた50歳台後半層の水準などの給与制度の総合的見直しを平成27年4月より実施することとされたところである。これを踏まえ、地方公共団体においても、国における見直しの実施時期を念頭に、各地方公共団体の給与実態を踏まえつつ、下記事項に留意の上、適切に見直しを行うこと。
 なお、現在当該団体独自の時限的な給与削減措置により給与水準が低くなっている団体にあっては、本来の給与制度や運用・水準を国の給与制度の総合的見直しを踏まえた適正なものとすることが必要であることに留意すること。また、平成18年以降の給与構造見直しの取組が不十分な団体や、給与適正化の点から課題のある団体にあっては、これを機に必要な見直しに取り組むこと。
1 給料表
(1) 国家公務員給与においては、地域ごとの民間賃金の水準をより的確に公務員給与に反映するため、俸給表の水準を平均2%引き下げるとともに、50歳台後半層の官民の給与差を考慮し、高位の号俸の俸給月額について、最大で4%程度引き下げる等の見直しを行うこととされており、各地方公共団体においては、国の俸給表の見直しを踏まえた必要な措置を講ずること。
2 地域手当
国家公務員給与においては、地域ごとの民間賃金の水準をより的確に公務員給与に反映させるため、俸給水準の引下げと併せ、地域手当において、級地区分の増設や支給割合の見直し、賃金構造基本統計調査のデータ更新に基づく支給地域の見直し等を行うこととされたところである。地方公共団体においても、これを踏まえ、地域手当について所要の見直しを行うこと。その際、次の事項に留意すること。
(1) 当該団体における第2の1の給料水準の見直しと併せ、国における地域手当の指定基準に基づき、支給地域及び支給割合を定めることが原則であること。
(2) 給料水準の引下げと併せても国の指定基準に基づく支給割合によれば著しく給与水準が上昇する場合については、地域手当の支給割合について住民の理解と納得が得られるものとなることを基本として適切に対応すること。
(3) 都道府県にあっては、人事管理上一定の考慮が必要となる場合、国の基準にのっとった場合の支給総額を超えない範囲で、支給割合の差の幅の調整を行うことは差し支えないが、この場合であっても地域手当の趣旨が没却されるような措置は厳に行わないこと。

 要するに、総務省は、「各地方公共団体においては、国の俸給表の見直しを踏まえた必要な措置(水準の平均2%引き下げなど)を講ずるとともに、これに併せ、地域手当について、国における地域手当の指定基準に基づき、指定地域及び指定割合を定める見直しを実施することが原則」だと述べているのである。
 そして、同通知では、本年の給与改定及び給与の適正化にかかわって、より直接的な表現で次のように述べている。

○地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて(平成26年10月7日付け総行給第70号都道府県知事等あて総務副大臣通知)抜粋(その2)
第1 本年の給与改定及び給与の適正化について
 地方公共団体における職員の給与改定を行うに当たっては、地方公務員法の趣旨に沿って適切に対応すること。その際、厳しい財政状況及び各地方公共団体の給与事情等を十分検討の上、既に国家公務員又は民間の給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、その適正化を図るため必要な措置を講じること。
1 国家公務員の月例給については、官民給与の較差を踏まえ、行政職俸給表(一)において、平均0.3%の引上げ改定を行うとともに、若年層に重点を置いて改定を行うこととされたところである。地方公共団体においては、人事委員会の給与に関する勧告及び報告を踏まえつつ、地域における民間給与等の状況を勘案して適切に対処すること。
その際、現に国家公務員又は民間の給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、不適正な給与制度及びその運用の見直しを含め、必要な是正措置を速やかに講じること。特に、仮に民間給与が著しく高い地域であったとしても、公務としての近似性及び財源負担の面から、それぞれの地域における国家公務員の給与水準との均衡に十分留意すること。
8 人事委員会においては、その機能を発揮し、地域の民間給与をより的確に反映させる観点から、公民較差のより一層精確な算定、公民比較の勧告への適切な反映、勧告内容等に対する説明責任の徹底などの取組を引き続き行うこと。ただし、公務としての近似性及び財源負担の面から、それぞれの地域における国家公務員の給与水準との均衡に十分留意すること。
 また、人事委員会を置いていない市及び町村については、都道府県人事委員会における公民給与の調査結果等も参考に、地域の民間給与を反映させた適切な対応を行うこと。

 気になるのは、「仮に民間給与が著しく高い地域であったとしても、公務としての近似性及び財源負担の面から、それぞれの地域における国家公務員の給与水準との均衡に十分留意すること」としている箇所である。

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