391.臨時・非常勤教員(その4) [46.臨時・非常勤教員]
今回は、臨時的に任用する常勤講師の給与上の格付けなどについて見ておきたい。便宜上、教員給与を考える際のベースとなる小中学校の講師を基本にする。
手始めに、このノートで何度も考察の手がかりにしてきた「国家公務員等の旅費に関する法律の運用方針について」(昭27.4.15 蔵計922 大蔵省主計局長通牒)を確認する。国立大学が法人化される前のものであるので、当時の11級制に基づく職務の級を「旧何級」と表記し、現行10級制に基づく職務の級に切り替えた上で( )内に「新何級」と表記する。
別表第一 行政職俸給表(一)の各級に相当する職務の級
行政(一) 教育(三) *教育(二)も同じ
旧4級(新3級) -
旧3級(新2級) 旧1級の12号俸以上(新1級の41号俸以上)
旧2級(新2級) 旧1級の6~11号俸(新1級の17~40号俸)
旧1級(新1級) 旧1級の5号俸以下(新1級の16号俸以下)
号俸の存在しない再任用職員の格付けの方も見ておく。
別表第二 再任用職員の行政職俸給表(一)の各級に相当する職務の級
行政(一) 教育(三) *教育(二)も同じ
旧4級(新3級) -
旧3級(新2級) 旧1級(新1級)
旧2級(新2級) -
旧1級(新1級) -
つまり、教育(三)1級は、行政(一)旧3級(新2級)と同格とみるのが基本となっている。ちなみに、教育(三)2級は、行政(一)旧6級(新4級)と同格とみるのが基本となっている。
行政(一)の級別標準職務表を見ておく。
職務の級 標準的な職務
旧1級(新1級)
定型的な業務を行う職務
旧2級(新2級)
相当高度の知識又は経験を必要とする業務を行う職務
旧3級(新2級)
1 主任の職務
2 特に高度の知識又は経験を必要とする業務を行う職務
旧4級(新3級)
1 本省、管区機関又は府県単位機関の係長又は困難な業務を処理する主任の職務
2 地方出先機関の相当困難な業務を分掌する係の長又は困難な業務を処理する主任の職務
3 特定の分野についての特に高度の専門的な知識又は経験を必要とする業務を独立して行う専門官の職務
つまり、教育(三)1級が適用される講師は、行政(一)が適用される職種の旧3級(新2級)の主任と同格の職務と責任を有すると見なされている。複数の部下を監督する立場の係長より職務と責任の度合いは低いとみていることになる。
ちなみに、教育(三)2級の教諭については、同通牒では、行政(一)旧6級(新4級)の本省困難係長、管区機関の課長補佐等と同格とみていることになっている。
それでは、例によって、格合わせ方式により制度上の対比を行う。金額は、27年4月改正後、つまり給与制度の総合的見直しによる見直し後のもの。1級なので高卒ベースで制度表を作る。紙幅の関係から、ピックアップして掲載する。(★は最高号俸)
<教育(三)1級VS行政(一)1級>
制度年齢 教育(三)a 行政(一)b 差引(a/b)
18歳 1-1 150,900円 1-5 142,100円 8,800円(1.06)
22歳 1-17 181,400円 1-21 163,600円 17,800円(1.11)
30歳 1-49 237,000円 1-53 213,300円 23,700円(1.11)
40歳 1-89 288,100円 ★1-93 244,900円 43,200円(1.18)
49歳 ★1-125 304,400円 -
<教育(三)1級VS行政(一)相当級>
制度年齢 教育(三)a 行政(一)b 差引(a/b)
26歳 1-33 211,100円 2-5 194,700円 16,400円(1.08)
30歳 1-49 237,000円 2-21 222,200円 14,800円(1.07)
40歳 1-89 288,100円 2-61 275,400円 12,700円(1.05)
49歳 ★1-125 304,400円 2-97 293,500円 10,900円(1.04)
56歳 - ★2-125 301,900円
教育(三)1級と行政(一)相当級の俸給制度上の水準差をみると、最高号給付近の1.04から大卒初任給基準の1.11までとなっている。ちなみに教育(三)2級の場合は、高い制度年齢は1.02~1.03で大卒初任給基準当たりは1.13となっている。
制度設計上何歳まで号俸が用意されているかに着目すると、教育(三)2級は制度年齢56歳(大卒ベース)まで号俸が用意されているのに対して、1級は49歳(高卒ベース。大卒ベースに置き直せば48歳)までしか号俸が用意されていない。
一方、行政(一)の方は、1級は40歳(高卒ベース)で頭打ちとなっているが、2級は主任に適用される職務の級であることもあって、56歳まで号俸が用意されている。
講師の職務は、学校教育法で「教諭(略)に準ずる職務に従事する」と規定されており、実際上、正式採用の職員として生涯にわたって勤務することは想定されていないと言ってよいだろう。制度年数上の号俸数が少ないのは年功的要素が現在以上に色濃かった時代からのものなのだが、その理由については、そのような臨時の職であるとの前提に立って設計したのだと理解するほかないのではないかと考えている。
手始めに、このノートで何度も考察の手がかりにしてきた「国家公務員等の旅費に関する法律の運用方針について」(昭27.4.15 蔵計922 大蔵省主計局長通牒)を確認する。国立大学が法人化される前のものであるので、当時の11級制に基づく職務の級を「旧何級」と表記し、現行10級制に基づく職務の級に切り替えた上で( )内に「新何級」と表記する。
別表第一 行政職俸給表(一)の各級に相当する職務の級
行政(一) 教育(三) *教育(二)も同じ
旧4級(新3級) -
旧3級(新2級) 旧1級の12号俸以上(新1級の41号俸以上)
旧2級(新2級) 旧1級の6~11号俸(新1級の17~40号俸)
旧1級(新1級) 旧1級の5号俸以下(新1級の16号俸以下)
号俸の存在しない再任用職員の格付けの方も見ておく。
別表第二 再任用職員の行政職俸給表(一)の各級に相当する職務の級
行政(一) 教育(三) *教育(二)も同じ
旧4級(新3級) -
旧3級(新2級) 旧1級(新1級)
旧2級(新2級) -
旧1級(新1級) -
つまり、教育(三)1級は、行政(一)旧3級(新2級)と同格とみるのが基本となっている。ちなみに、教育(三)2級は、行政(一)旧6級(新4級)と同格とみるのが基本となっている。
行政(一)の級別標準職務表を見ておく。
職務の級 標準的な職務
旧1級(新1級)
定型的な業務を行う職務
旧2級(新2級)
相当高度の知識又は経験を必要とする業務を行う職務
旧3級(新2級)
1 主任の職務
2 特に高度の知識又は経験を必要とする業務を行う職務
旧4級(新3級)
1 本省、管区機関又は府県単位機関の係長又は困難な業務を処理する主任の職務
2 地方出先機関の相当困難な業務を分掌する係の長又は困難な業務を処理する主任の職務
3 特定の分野についての特に高度の専門的な知識又は経験を必要とする業務を独立して行う専門官の職務
つまり、教育(三)1級が適用される講師は、行政(一)が適用される職種の旧3級(新2級)の主任と同格の職務と責任を有すると見なされている。複数の部下を監督する立場の係長より職務と責任の度合いは低いとみていることになる。
ちなみに、教育(三)2級の教諭については、同通牒では、行政(一)旧6級(新4級)の本省困難係長、管区機関の課長補佐等と同格とみていることになっている。
それでは、例によって、格合わせ方式により制度上の対比を行う。金額は、27年4月改正後、つまり給与制度の総合的見直しによる見直し後のもの。1級なので高卒ベースで制度表を作る。紙幅の関係から、ピックアップして掲載する。(★は最高号俸)
<教育(三)1級VS行政(一)1級>
制度年齢 教育(三)a 行政(一)b 差引(a/b)
18歳 1-1 150,900円 1-5 142,100円 8,800円(1.06)
22歳 1-17 181,400円 1-21 163,600円 17,800円(1.11)
30歳 1-49 237,000円 1-53 213,300円 23,700円(1.11)
40歳 1-89 288,100円 ★1-93 244,900円 43,200円(1.18)
49歳 ★1-125 304,400円 -
<教育(三)1級VS行政(一)相当級>
制度年齢 教育(三)a 行政(一)b 差引(a/b)
26歳 1-33 211,100円 2-5 194,700円 16,400円(1.08)
30歳 1-49 237,000円 2-21 222,200円 14,800円(1.07)
40歳 1-89 288,100円 2-61 275,400円 12,700円(1.05)
49歳 ★1-125 304,400円 2-97 293,500円 10,900円(1.04)
56歳 - ★2-125 301,900円
教育(三)1級と行政(一)相当級の俸給制度上の水準差をみると、最高号給付近の1.04から大卒初任給基準の1.11までとなっている。ちなみに教育(三)2級の場合は、高い制度年齢は1.02~1.03で大卒初任給基準当たりは1.13となっている。
制度設計上何歳まで号俸が用意されているかに着目すると、教育(三)2級は制度年齢56歳(大卒ベース)まで号俸が用意されているのに対して、1級は49歳(高卒ベース。大卒ベースに置き直せば48歳)までしか号俸が用意されていない。
一方、行政(一)の方は、1級は40歳(高卒ベース)で頭打ちとなっているが、2級は主任に適用される職務の級であることもあって、56歳まで号俸が用意されている。
講師の職務は、学校教育法で「教諭(略)に準ずる職務に従事する」と規定されており、実際上、正式採用の職員として生涯にわたって勤務することは想定されていないと言ってよいだろう。制度年数上の号俸数が少ないのは年功的要素が現在以上に色濃かった時代からのものなのだが、その理由については、そのような臨時の職であるとの前提に立って設計したのだと理解するほかないのではないかと考えている。
2015-04-13 21:35
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