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392.読書=『メシが食える教育』 [29.読書]

 高濱正伸『メシが食える教育 「官民一体校」の挑戦』(角川新書、2015)
 著者は、花まる学習会代表。2015年4月から、佐賀県武雄市の竹内小学校をモデル校とした官民一体型の小学校が開校する。
 そのこと自体は既に大きく報道されているのだが、単なる公立学校の民間委託の発想でも、既に存在する公私協力方式による公立学校でもない。その中身は、この新書を読んでいただくこととして、まあ、著者の元気あふれる姿が目に浮かぶ本である。

 目次の章立てを見ておく。

 はじめに
 第1章 学校と先生が危機に瀕している
 第2章 親を味方にする
 第3章 哲学することの大切さ
 第4章 メシが食える大人とは
 第5章 学校と塾の未来像
 第6章 三人の出会いの物語
 おわりに

 手にとってまず意外に思ったのは、第1章を「学校と先生が危機に瀕している」と題し、多忙な教師たちの厳しい現状の認識を示していることだった。
 「その人たちに実際会って話を聞いてみて、まず感じたのは「疲れ果てている」ということ。/まず、やるべきことが膨大にある。…/先生たちは、「やるべきこと」をこなすのに精一杯なのです。私から見たら、これだけのことをよくこなしていると感心するばかりです。今の小学校は、先生たちがやるべきことがあまりに多すぎるのです。当然、残業も多くなります。心身ともに休める時間が削られてしまうのもやむをえません。」
 「「やりたくてもできない」。それが現場の先生たちの本音なのです。先生が先生でいられない仕組み。先生が先生として機能できない仕組み。それが今の一番の問題なのだと気付きました。」

 長く塾経営を行い、学習指導を行ってきたからこそこのように感じられたのだろう。
 もう一カ所、引用。

 「さて、本書中、先生の「結果責任」について言及しましたが、ここは誤解を招くところなので、一言添えておきます。間違っても「今の先生たちはダメだからクビにしろ」という意味ではありません。予習に追われ、雑務に追われ、モンスターペアレンツの攻撃におびえ、疲れ果てている先生方を、安らかで充実した教師生活に再生させる肝心要のポイントが、結果責任だと信じているのです。」

 この辺りは花まるメソッド実践者の面目躍如といった主張だろう。元気いっぱいの塾長なのだが、本書のなかでは、それとなく心配ごとも述べている。さて、どんな小学校が生まれることになるのか、これからも注目したい。

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