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393.臨時・非常勤教員(その5) [46.臨時・非常勤教員]

 臨時的に任用される常勤講師については、地公法22条による臨時的任用にせよ、地公法17条による期限付き任用にせよ、給料表を適用することが基本とされている。そして、公立の小中学校等に勤務する常勤講師のうち、いわゆる標準法に定めるものに係る給与は国庫負担されることになっている。(義務教育費国庫負担法)
 この国庫負担額には国が負担する限度額が定められているのだが、具体的には、「義務教育費国庫負担法第二条ただし書の規定に基づき教職員の給与及び報酬等に要する経費の国庫負担額の最高限度を定める政令施行規則(平成16年文部科学省令第28号)」に別表として定められている。その別表は職種別に分かれており、講師については、別表五が適用される。
 国庫負担制度自体はこのノートの考察の対象外なので詳しく見るつもりはないのだが、一応確認しておく。

別表第五(抜粋)
 経験年数
 1年未満     192,700円
 10年以上11年未満 251,200円
 20年以上21年未満 300,400円
 30年以上32年未満 308,000円
 32年以上     308,400円

 一見して分かるとおり、旧教育職(三)1級の水準をベースにしている。

 さて、臨時的に任用する常勤講師をテーマに考え始めたのだが、色々興味深い課題がありすぎる。何を取り上げるべきか悩んでしまう…。
 給与から離れることにはなるが、「常勤」という言葉に着目して考察してみたいと思う。これまで、常勤講師を対象に考えてきた訳だが、ここでいう「常勤」とは正規採用の教員同様の勤務時間、勤務態様を当然のごとく想定している。にもかかわらず、「常勤」講師の理解は異なっている。

 まず、給料が支給される点に着目する。
 地方自治法に基づき、地方公共団体の非常勤の職員には報酬を支給し(第203条の2第1項)、常勤の職員には給料を支給しなければならない(第204条第1項)ことになっている。次の規定を前提とすると、給料が支給される常勤講師は、地方自治法上の常勤の職員と理解されていることは間違いない。

 ところが、地方公務員等共済組合法の適用については、微妙である。
 同法では、同法の適用対象を「職員」とし、「常時勤務に服することを要する地方公務員をいう」と定義付けている。常勤講師は自治法上の常勤の職員であるのだから当然地共済法のいう「常時勤務に服することを要する地方公務員」に該当するのかと思いきや、直ちに該当するものではないのである。ご存じのとおり、常勤講師は共済組合には加入せず、協会けんぽと厚生年金に加入している。
 ちなみに当該規定は次のとおりである。

<地方公務員等共済組合法>
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一 職員 常時勤務に服することを要する地方公務員(地方公務員法 (昭和二十五年法律第二百六十一号)第二十七条第二項 に規定する休職の処分を受けた者、同法第二十九条第一項 に規定する停職の処分を受けた者、法律又は条例の規定により職務に専念する義務を免除された者及び常時勤務に服することを要しない地方公務員のうちその勤務形態が常時勤務に服することを要する地方公務員に準ずる者で政令で定めるものを含むものとする。)をいう。

 常勤講師については、上記規定でいうところの「常時勤務に服することを要しない地方公務員」という理解になっている。産休代替に引き続き育休代替になった場合には1年を超えて任用されることとなる可能性があるが、そのような場合にはここにいう政令で定めるものに該当することとなり、共済組合員の資格を得ることになるのである。(「常時勤務に服することを要しない地方公務員のうちその勤務形態が常時勤務に服することを要する地方公務員に準ずる者で政令で定めるもの」のことを「常勤的非常勤職員」と呼ぶことがある。)

 このことにかかわって、過去に次の通知が発出されている。

○「義務教育費国庫負担金における共済費の取り扱いについて」(昭六二.一二.一五 文教財第一四九号 各都道府県教育委員会あて 文部省教育助成局長、文部省大臣官房総務審議官通知)
 このたび、会計検査院の昭和六二年度実地検査において、一部の都道府県において、女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律(昭和三○年法律第一二五号)及び義務教育諸学校等の女子教育職員及び医療施設、社会福祉施設等の看護婦、保母等の育児休業に関する法律(昭和五○年法律第六二号)に基づき臨時的に任用される産休補助教職員及び育児休業補助教育職員に係る共済費について、公立学校共済組合の組合員資格を有しないと解される者を加入させ、その者に係る共済費を負担し、これを国庫負担対象額に計上していることが指摘されました。
 ついては、産休補助教職員及び育児休業補助教育職員等に係る共済組合員資格等及び義務教育費国庫負担金における共済費の取扱いについては、下記事項に十分留意し、適正に行うように願います。
 なお、このことについては、貴管下の市町村教育委員会及び学校長に対し、周知徹底されるよう願います。
            記
1 産休補助教職員及び育児休業補助教育職員等の共済組合員資格等について
(1) 産休補助教職員及び育児休業補助教育職員等の期限を付して臨時的に任用される職員が地方公務員等共済組合施行令(昭和三七年政令第三五二号。以下「施行令」という。)第二条第五号に掲げる者に該当する場合には、地方公務員等共済組合法(昭和三七年法律第一五二号)第二条第一項第一号及び第三九条第一項並びに施行令第二条の規定により任用期間が一二月を超えるに至った日から公立学校共済組合の組合員資格(以下「組合員資格」という。)を取得するものであること。
(2) したがって、上記(1)の取扱いに反して、法令上組合員資格を有しない者を公立学校共済組合に加入させている場合には、速やかにその適正化を図ること。また、このことについては、別途公立学校共済組合あて通知していること。

 昭和62年のこの通知が発出される以前は、常勤講師のうち任用期間が6か月以上のものなどの条件を満たすものについて、公立学校共済組合の加入資格を認めていた都道府県支部が存在していたのであった。
 多くの県で年度末に任用期間の空白(1日~数字)を設けている。それは、地公法22条による臨時的任用が1年以内の任用を前提していることを理由に挙げていると思われるが、それだけではなく、この通知の記書きにあるように、任用期間が12月を超えるに至った日から共済組合員資格を取得する扱いとなることもあってのことなのではないか、と思われる。

 なお、蛇足ながら、臨時的に任用される国家公務員が共済組合員資格を有しない取扱いになっていることについては、法的に明確になっている。

○国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)
(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一  職員 常時勤務に服することを要する国家公務員(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第七十九条又は第八十二条の規定(他の法令のこれらに相当する規定を含む。)による休職又は停職の処分を受けた者、法令の規定により職務に専念する義務を免除された者その他の常時勤務に服することを要しない国家公務員で政令で定めるものを含むものとし、臨時に使用される者その他の政令で定める者を含まないものとする。)をいう。

○国家公務員共済組合法施行令(昭和33年政令第207号)
(職員)
第二条  (略)
2  法第二条第一項第一号に規定する臨時に使用される者その他の政令で定める者は、次に掲げる者とする。
 一  国家公務員法第六十条第一項の規定により臨時的に任用された者
 二  国家公務員の育児休業等に関する法律第七条第一項又は国家公務員の配偶者同行休業に関する法律第七条第一項の規定により臨時的に任用された者
 三~四 (略)

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