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394.臨時・非常勤教員(その6) [46.臨時・非常勤教員]

 前回、多くの県で年度末に任用期間の空白(1日~数字)を設けているのは、任用期間が12月を超えるに至った日から共済組合員資格を取得する扱いとなることもあってのことなのではないかと思われる、と書いた。
 少し補足した方がよいのかもしれない。

 昭和62年通知が発出された頃は、共済組合費が国庫負担の対象なのであった。臨時的任用の期間が12月を超えて共済組合に加入するという事態になるケースとしては、産休代替から育休代替を連続して臨時的任用されたケースが想定できるけれども、地公法22条による臨時的任用でありながら共済組合に加入するという事態は、脱法的な任用をしていることを対外的にも証明するような意味合いをもってくると思われる。しかもそれが国庫負担の対象となるとすれば、またぞろ会計検査院の指摘を受けるかもしれない、と慎重になるのも分かるような気もする。当時、各県の担当者たちは、どのような想いでいたのだろうか…。

 そのことはさておき、仮に臨時的任用が12月を超えて共済組合に加入した場合には、いったいどうなるのだろうか。現行制度では、共済組合費は国庫負担の対象ではなくなったのだから、構わないではないかと思うのだが…。
 そこで、臨時的任用職員に対する法令の適用関係を確認してみた。そうすると、臨時的任用の場合には適用除外となる法令の規定がいくつもあることが分かる。
 真っ先に説明されるのは、分限に関する規定と不利益処分に関する不服申立ての規定が適用されないことであろう(地公法29条の2)。これは、「雇用期間が相対的に短期であるため身分を保障する実益がない」からだと理解されているようだ(『逐条地方公務員法』332頁)。
 また、各種の休業制度、地方公務員法に定めのある自己啓発休業や配偶者同行休業、教育公務員特例法に定めのある大学院修学休業も適用されない。地方公務員の育児休業等に関する法律を見ると、育児休業も育児短時間勤務も適用除外になっている。(部分休業については適用除外とはなっていない。)
 そのほか、教育公務員特例法に定める初任者研修などの法定研修も適用除外となっている。
 これらの適用除外とされた制度のうち、このノートで気になるのは、育児休業にかかわって、平成22年10月に新設された国における期間業務職員の取扱いとの差異だ。
 国の期間業務職員の制度は、従来の日々雇用の仕組みを廃止し、非常勤職員として会計年度内に限って、臨時的に置かれる官職に就けるために任用する制度であるが、「1会計年度内に限って」とはいうものの、実際には3年程度は再度採用されることが見込まれるようなものとなっている。そのため、育児休業が適用されることになっているらしい。
 一方、臨時的任用職員の場合はどうかというと、先程述べたとおり育児休業は適用除外とされている。しかし、事実上だけでなく、実際の任用期間としても1日の空白もなく引き続いて12月を超えて任用された場合には、育児・介護休業法第5条第1項ただし書きの規定との関係が問題になる。すなわち、「ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次の各号のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができる。 一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年以上である者 二 (略)」となっているからである。
 また、民間の労働者の場合には、雇用保険から育児休業給付金が給付されることになっているのに対して、公務員の場合には雇用保険制度が基本的には適用されないことから、共済組合から育児休業手当金が給付されることになっている。逆に言うと、育児休業給付を実施するための労働者負担分について、民間の労働者は雇用保険料の一部として、公務員は共済掛金の一部として支払っていると思われる。ところが、臨時的任用職員である公務員のうち給料表が適用される者については、基本的には雇用保険に加入しないし、共済組合にも加入しないので、育児休業給付のために必要な労働者負担分の支払いも行っていないことになっている。そうすると、臨時的任用の期間が12月を超えて共済組合に加入するという事態に至った場合には、制度上、育児休業が適用除外とされる者であるにも関わらず、共済掛金の支払いを通じて、制度上受給することの不可能な育児休業給付のための労働者負担分の負担をしていることにならないか、と思ってしまうのである。そうして考えてくると、任用期間が12月を超えるに至った臨時的任用職員については、地方公務員育児休業法では適用除外であったとしても、法の谷間としておくのではなく、いわゆる育児・介護休業法の第5条第1項ただし書きを準用あるいは類推適用すべきと理解するのが、関連法令全体の趣旨に叶うように思うのだが、どうだろうか…。
 もっとも、そもそも年度末に任用期間の空白(1日~数日)を設けるという人事運用が変更されなければ意味はないが…。

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