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411.27年俸給表改定(その4) [48.27年俸給表改定]

 今年の各都道府県人事委員会の勧告が出そろいつつあるが、大半が「月給、ボーナスとも2年連続引き上げる」との内容である。
 そこで、これらの人事委員会勧告で示された各県の教育職給料表の元となっている旧教育職俸給表(二)(三)に相当する全人連モデル給与表について、確認しておきたい。
 いつものとおり俸給制度表を作成し、行(一)との格合わせに基づき比較し、考察する。

 全体の改定イメージは、このカテゴリーの(その3)までに書いたので、マニアックな感じにはなるが、100円単位の細部を見ていきたい。
まず、人確法の趣旨を踏まえ、旧教(三)から見ていこう。

(1) 旧教(三)1級(講師)
 行(一)1~2級(係員~主任)と格合わせする。
 旧教(三)1級の各号俸の現行俸給月額に行(一)1~2級の各号俸の改定率を乗じて得た額の100円未満の端数を四捨五入した額を出してみる(以下「四捨五入計算」ということにする。)。
 モデル給与表の額と比較すると、一部の号俸で100円の相違がある。
 大学卒初任給基準である旧教(三)1級21号俸については、四捨五入計算による額とモデル給与表の額がぴったり一致している。行(一)の大学卒初任給基準である1級25号俸の改定額は2,500円、改定率は1.4%であり、旧教(三)の方は2,700円、1.4%である。
 初任給基準の号俸よりも若い号俸を確認していくと、旧教(三)1級の15~20号俸で四捨五入計算の額よりモデル給与表の額の方が100円低くなっている。これは、おそらく、四捨五入計算によれば、これらの号俸の改定額が2,800円となることから、100円低くしたのであろう。その結果、初号まですべての改定額が2,700円でそろうことになっている。一方、改定率の方は、その分旧教(三)の方が0.1%低くなっている。
 初任給基準の号俸から各号俸を上昇し、次に調整しているのは旧教(三)1級49号俸である。行(一)では、若年層の改定額については2,500円とし、制度年齢28歳の2級18号俸までをその額とするが、19号俸以上の号俸の改定額は徐々に100円刻みで逓減していくのだが、その制度表上の開始点は、旧教(三)のモデル給与表も同じ年齢の位置である。しかし、旧教(三)の俸給月額は相当する行(一)の俸給月額より高いことから、四捨五入計算による額によれば、この49号俸のところで100円刻みが200円刻みとなってしまう。すなわち、四捨五入計算によれば、49号俸の改定額は2,600円であるのに対し、50号俸の改定額が2,400円となるのである。そこを100円刻みとするために、49号俸の改定額を100円低くし、2,500円としたのであろう。
 次に100円調整が出現するのは、旧教(三)1級の82~94号俸である。行(一)では、最低の改定額を1,100円とし、制度年齢40歳の2級66号俸まで1,200円としている。旧教(三)のモデル給与表では、四捨五入計算による額では、行(一)の1,100円改定にあたる号俸は1,100円となるのだが、1,200改定に当たる部分は1,300円となり、200円の差が生じてしまう。そのため、四捨五入により切り上げた結果、改定率が行(一)より0.1%高くなっている号俸については切り捨てとすることによって改定率を行(一)に合わせ、すなわち、改定額を100円低くして1,200円としたと考えられる。
 格合わせをした上で、改定率を合わせた上で、100円単位で俸給月額を設定することとするけれども、四捨五入による端数処理の結果生じる200円刻みの部分をうまく微調整をしているのである。この辺りは、人事行政研究所の職人技ということなのだろう。

(2) 旧教(三)2級(教諭)
 行(一)1~5級(係員~課長補佐)と格合わせする。
 旧教(三)2級の若年層の改定額は2,800円となっているのだが、四捨五入計算によると、2級の初号のみ改定額が2,700円となってしまうため、その改定額が2,800円となるように100円を積んだのであろう。
 次に39号俸を100円積み、40号俸を100円低くしている。そうすることで、改定額の逆転を解消したのだと思われる。44号俸は100低くしているが、これは改定額の変化が200円刻みとなるところを解消し、100円刻みとしている。
 改定額が1,100円となるのは、制度年齢40歳の87号俸(行(一)は5級27号俸)からとなっているが、直前の86号俸の改定額は1,300円であることから、200円刻みが解消されていない。86号俸の改定額を1,200円としてしまうと、その改定率が0.4%から0.3%に下がり、行(一)の相当する改定率よりも低くなってしまうことになる。この部分については、それを嫌ったのかもしれない。
 ある号俸の改定の場合は、率を合わせた上で額を微調整し、別の号俸では額を微調整する際に率の変化を考慮しているようなのだが、この辺りも、やはり職人技的なバランスの取り方ということなのか…。

(3)旧教(三)特2級(主幹教諭)
 行(一)3~6級(係長~困難補佐)と格合わせする。
 一つ目のポイントとなる若年層の28歳までの号俸である特2級の初号と2号俸については、行(一)の2,500円に対して、2,900円の改定額となっている。ここは、四捨五入計算による額とモデル給与額は一致する。
 3号俸から7号俸までは、四捨五入計算ではバタつくような感じで、100円刻みで逓減していくべき改定額が逆転している。そのため、改定額に100円を積んだり、100円を減らしたりして、改定額がきれいに並ぶように調整している。
 その後、16号俸の改定額については、四捨五入計算の額から100円低く設定いる。
 そして、43号俸から64号俸までは、四捨五入計算の額に一律100円を積んでいる。そのことによって、その間の号俸の改定額は、相当する行(一)の号俸の改定額よりも100円高くなっている。別に100円を積まなくても行(一)とのバランスは取れているのではないのかと思うのだが、なぜだか分からない。行(一)では1,200円~1,100円の改定額なのだが、旧教(三)特2旧では1,300円~1,200円となっている。ちなみに、旧教(三)3級の制度上同年齢の号俸についても、まったく同じ微調整が施されている。そこで、旧教(二)の方はどうかと見てみると、なんと旧教(三)のような微調整は施されていない。ますます分からない。この問題については、ここではこれ以上追及せず、先に3級を考察する。

(4)旧教(三)3級(教頭)
 行(一)3~7級(係長~室長)と格合わせする。
 まず、3級8号俸は、四捨五入計算では2,000円の改定額となるところ、端数処理の結果改定率が0.1%高くなっている。そこで、100円低い1,900円の改定額とすることで、同年次の号俸の改定率を一致させている。
 次に見ていくと、37号俸から56号俸までは、四捨五入計算の額に一律100円を積んでいる。その事情は、特2級の43号俸から64号俸までと同じであり、旧教(二)の方では微調整をしていない。特2級では行(一)6級と合わせている部分であり、3級では行(一)7級と合わせている部分である。
 その次は、82号俸以上の号俸について、四捨五入計算の額に一律100円を積んでいる。これは、単純に四捨五入計算をして100円単位で端数処理をすると切り捨てになり、改定額が1,000となってしまうことから、最低改定額の1,100円を確保すべく100円を積んだのだと考えられる。

(5)旧教(三)4級(校長)
 行(一)7級(室長)と格合わせする。
 すべての号俸において、四捨五入計算による額と一致し、調整は行われていない。


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