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412.27年俸給表改定(その5) [48.27年俸給表改定]

 前回、旧教(三)について俸給制度表を作成し、行(一)との格合わせに基づき俸給月額などを比較し、考察した。
 その際、旧教(三)の特2級・特3級の制度年齢39歳から43歳までの号俸、すなわち、特2級の43号俸から64号俸までと3級の37号俸から56号俸までの改定額については、何故に四捨五入計算による額に一律100円を積んだのであろうか、という点が宿題になっていた。行(一)や旧教(二)に比べて100円有利に思われるのだが、どうしてであろうか。
 全人連は何も説明しないので、このノートで想像するしかない。「基本ルールにより計算した額に100円を積む」ということは、そこに何らかの事情があったはずであり、例えば、特2級の該当号俸の俸給月額を2級のある号俸の号給月額との関係で引き上げたかったのかもしれない。

 ちなみに、行(一)の各級の各号俸の俸給月額について、1級下位の同年次の号俸の俸給月額よりもどれだけ制度的に高い額に設定されているのかを確認してみる。
 そうすると、おおざっぱに述べると次のようになっている。
 2級については、その初号は1級の同年次の号俸の俸給月額と同額となっている。これは、2級が初任給基準を持つ給料表であり、昇格加算額が設定されていないからである。2号俸以上は上位の号俸に上がっていくに従って、対応する同年次の号俸の俸給月額との差が大きくなっていく。その額は、0円~最大30,500円である。
 3級以上は係長以上の職務に適用されることから、昇格加算額を考慮した関係になっている。3級については、その初号は2級の同年次の号俸である2級17号俸の額に対して、8,300円のメリットが付与されている。そして、上位の号俸に上がっていくと若干下がって、7号俸及び8号俸で最低の8,000円となり、その後は上位の号俸に上がっていくに従って、対応する同年次の号俸の俸給月額との差は大きくなっていく。最大は、44,300円である。
 4級以上の1級下位の同年次の号俸の俸給月額との関係についても、概ね同様の傾向になるように俸給表は作られている(ただし、5級と6級は様相が違うが…)。そもそも、ごく簡単に考えれば、職務の級が上昇するに従って、俸給カーブの傾斜が徐々にきつくなるように設計されており、かつ、昇格制度の改善に伴って、昇格加算額というメリットが織り込まれたのだから、このようになるのは当然の帰結なのであった。
 ちなみに、繰り返しの部分もあるが、行(一)の全体を俯瞰しておく。

<行(一)における1級下位の同年次の号俸の俸給月額に対する有利性>
 2級 初号0円(1.00)~61号俸30,500円(1.12)
 3級 初号8,300円(1.04)~109号俸44,300円(1.15)
 4級 初号9,100円(1.04)~93号俸32,500円(1.09)
 5級 初号10,400円(1.04)~25号俸13,000円(1.04)~85号俸10,000円(1.03)
 6級 初号13,100円(1.04)~50号俸20,800円(1.06)~85号俸17,200円(1.04)
 7級 初号18,300円(1.05)~61号俸37,700円(1.09)
 8級 初号15,600円(1.04)~45号俸25,000円(1.06)
 9級 初号16,800円(1.04)~29号50,100俸円(1.11)
 10級 初号13,000円(1.03)~21号俸32,000円(1.06)

 5級は、後半の俸給カーブの上昇率が4級よりも悪くなっており、比較的早く頭打ちとなったあと、徐々にメリットは減少していく。6級についても、似たような傾向になっている。総合的見直しの影響が大きいと思う。
 行(一)について俸給制度表を作成し、これに基づく俸給制度曲線の表を作成してみると、それまで美しかった俸給曲線が5級と6級の上位号俸に当たる部分を中心に無理矢理下の方に押し下げられ、4級の上位曲線と5級の上位曲線との間隔、5級の上位曲線と6級の上位曲線との間隔が詰まっている。しかも、5級の上位曲線と6級の上位曲線は見た目にもガタガタになっており、美しい曲線を描いていない。とても職人技とは思えない。

 さて、問題の旧教(三)の特2級・特3級の制度年齢39歳から43歳までの号俸に戻る。
特2級の43号俸から64号俸までと3級の37号俸から56号俸までの改定額については、四捨五入計算による額に一律100円を積んでいたのであった。
 先ほど行(一)で見たように旧教(三)の特2級及び3級を見ていく。現行と改正後の額等をピックアップする。

<旧教(三)における1級下位の同年次の号俸の俸給月額に対する有利性>
◆特2級
 初号9,900円(1.04)→10,100円(1.04)
 5号俸9,700円(1.04)→9,800円(1.04)
 25号俸12,100円(1.04)→同額(同率)…ピーク①
 50号俸9,800円(1.03)→同額(同率)…底(制度年齢40歳)
 92号俸13,600円(1.03)→同額(同率)…ピーク②
 101号俸12,500円(1.03)→同額(同率)…最高号俸
◆3級
 初号10,000円(1.04)→10,100円(1.04)
 13号俸13,200円(1.04)→13,300円(1.04)…ピーク①
 45 号俸9,600円(1.03)→同額(同率)…底(制度年齢41歳)
 72号俸12,700円(1.03)→同額(同率)…ピーク②
 85号俸9,600円(1.02)→同額(同率)
 93号俸9,700円(1.02)→同額(同率)…最高号俸

 見たとおり、ピークが2箇所ある。行(一)の5級及び6級ではピークは1つであった。旧教(二)についてはノートに掲載しないが、特2級には旧教(三)特2級のような顕著な特徴は見られない。旧教(三)の3級の場合は、底は制度年齢40歳辺りにやってくるが、ピーク①は初号、ピーク②は最高号俸となっている。
 旧教(三)について、俸給制度曲線を作成してみると、特2級と3級の上位曲線が下の方に曲げられ、1級下位の曲線に近づいている様子が見た目で分かる。とりわけ、3級はググッと押し下げられた感じであり、例えば、最高号俸の額を比較すると、特2級の号給延長後の最高号俸である117号俸415,400円に対して、3級の93号俸は421,100円であり、僅かに5,700円上回っているに過ぎない。(行(一)で最高号俸の差が一番小さいのは4級と5級であり、それでも12,000円である。)もちろん、3級には加算額があるので、旧教(三)の場合は7,500円を加算することから、93号俸の俸給月額は428,600円となり、13,200円上回っていることになる。しかし、そもそも3級の加算額は教職調整額との関係から設定されていることを考慮すると、特2級117号俸の額に教職調整額を加算した432,016円と比較すると、7,500円を加算しただけでは、3,416円のマイナスになってしまう。
 それに、じっと眺めてみると、2級と特2級と3級のカーブは、おおむね制度年齢40歳の辺りまでは狭い間隔でもってほぼ並行に走っているように見え、その後、一旦間隔は開いていくのだが、制度年齢で40歳台後半に入ると、その間隔が狭まるのである。
 いずれにしても、行(一)と比べると、その特徴には顕著なものがある。そもそも2級と3級の狭いスキマに特2級を設定したことに由来すると思うのだが、どうだろうか。
そして、昨年度、総合的見直しのための改定を行った後、この辺りから来る制度上のひずみを意識して、今回、少し手直しをしようとしたのではないだろうか…。
 もちろん、これは想像であり、本当の理由までは分からない。

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