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497. 石炭手当と薪炭手当=人事院月報第79号 [49.「人事院月報」拾い読み]

 人事院月報第79号(昭和32年9月1日発行)は、石炭手当の増額などを取り上げている。

 石炭手当の増額を勧告
 薪炭手当の引き上げも要望

 人事院は、8月8日、内閣総理大臣に対し、つぎのとおり石炭手当について勧告を行うとともに、薪炭手当についても要望するところがあつた。
 これにたいし、政府は8月19日総理府令第56号をもつて、勧告のとおり実施することとした。
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                      昭和32年8月8日
                   人事院総裁 浅井 清
 国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の支給に関する法律(昭和24年法律第200号)第4条の規定に基づき、同法第3条の規定に基づいて定められている石炭手当の支給額を世帯主たる職員に対しては21,450円、その他の職員に対しては7,150円にされるよう勧告します。
 なお、薪炭手当については、最近における薪炭の価格等の情況にもかんがみ、昭和31年10月23日に行つた薪炭手当に関する勧告の額まで引き上げられるよう要望します。

 これに続く経緯のあらましでは、石炭手当の勧告及び実施状況が表で示されている。昭和25年には勧告4,140円(トン当たり)に対して実施額3,500円、昭和26・27・28年と勧告が続くが、いずれも実施額は勧告の額に見たない。今回漸く実施額が勧告の額に追いついたようである。
 続いて読んでいくと、昭和31年の法改正であたらたに薪炭手当の支給に関する規定が付け加えられたとの記述がある。一年前の勧告では、寒冷地5級地(除北海道)の世帯主である職員に対して5,000円、寒冷地4級地の世帯主である職員には2,500円などを求めていたことが書かれている。


 現行の給与制度からすると、「石炭手当・薪炭手当…うん?」となる。そこで、『公務員給与法精義』から手当の沿革を見てみたい。(全訂版。昭和62年)

 現行の寒冷地手当の制度は、昭和二十四年に議員立法により制定された「国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律」(昭和二十四年法律第二百号)により発足して現在に至っているものであるが、同法制定前を含めてその沿革を見てみると、次のとおりである。
〔寒冷地手当法制定前〕
 この種の手当の始まりは、昭和二十一年に北海道在勤職員に対して支給された石炭手当であるとされている。この石炭手当は、当時の北海道在勤職員の生活の実態をも考慮して、世帯主たる職員には四五〇円、其の他の職員には一五〇円をそれぞれ支給するというものであったが、その後公務員給与は法律によることが必要とされることとなったため、昭和二十二年には「北海道に在勤する政府職員に対する越冬燃料購入費補給のための一時手当の支給に関する法律」(昭和二十二年法律第百五十八号)が制定され、石炭手当として世帯主三、〇〇〇円、その他一、〇〇〇円が、支給された。また、このほかにも北海道を含む寒冷地域在勤職員に対しては、俸給と扶養手当の合計月額の六割ないし三割の額が、大正九年勅令第四百五号に基づく臨時勤務地手当として大蔵省通達(昭和二十三年給発第二百四十三号、大蔵省給与局長通達)によって支給されていた。…
 (略)
〔薪炭手当の創設〕
 寒冷地手当法制定以後、石炭手当の支給額は石炭小売価格の調査結果に基づいて当然に何回かの改正を経過することとなったが、石炭手当の支給される北海道南部とそれの支給のない青森県等との間におけるこの手当額の格差が、気象条件の格差に比して甚だしいということが次第に問題となり、昭和三十一年、議員立法により寒冷地手当法に薪炭手当制度が加えられるに至った。すなわち北海道以外の五級地に在勤する職員に対しては、薪炭手当として世帯主に五、〇〇〇円、その他に一、七〇〇円を支給し、同じく四級地の場合にはそれぞれの半額を支給するという制度が創設され、あわせて法律の名称も「国家公務員に対する寒冷地手当、石炭手当及び薪炭手当の支給に関する法律」と改められた(昭和三十一年法律第百十七号)。…

 そして、これら三種の手当は、昭和39年の人事院勧告に基づく法改正により、寒冷地手当に統合・一本化される。



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