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1.旧教(二)(三)の作成 ブログトップ
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6. 旧教育職俸給表(二)(三)の作成(その6) [1.旧教(二)(三)の作成]

 さて、こうして教(二)(三)と行(一)との対比関係を眺めてきたが、以前言及した九州各県の研究された「格合わせ」を行うに当たって注意しなければならないことがある。既にお気づきと思うが、行(一)については平成4年の昇格改善の前の姿にするのであるが、同時に教(二)(三)の方は平成8年の号俸間引きが行われる前の姿にして格を合わせなければいけないと言うことである。それは、もとに戻るようであるが、以前、財団法人日本人事行政研究所が作成したいわゆる「全人連モデル」の参考資料「参考給与表と行政職俸給表(一)との対比表」について考えたことと同じことである。
 そこで、これらの点を踏まえて、例えば平成2年4月1日適用の俸給表で対比をしてみたい。果たして、行(一)vs教(二)及び行(一)vs教(三)の水準差を示すB/Aはどのように変化しているのか、あるいは変化していないのか。この辺りに注目しながら見ていきたい。ここでは紙幅の関係上詳細な対比はできないが、日本人事行政研究所作成の参考資料との比較を意識しながら対比表を作ってみよう。従って、大卒制度年数の刻みは5年ごとにはなっていない。
<教(二)vs行(一)>
 大卒制度年数   行(一)            教(二)
   (年数差)   号俸  俸給月額(A)  号俸  俸給月額(B)   B/A
    0     2-2  143,100    2-2  160,400    1.13(1.12)
    5(5)   3-4  176,400    2-7  195,000    1.11(1.12)
   12(7)   7-1  238,400    2-14 253,700    1.06(1.06)
   18(6)   8-5  297,700    2-20 309,000    1.04(1.04)
   23(5)   8-10 347,900    2-25 353,400    1.02(1.03)
   28(5)   8-15 394,200    2-30 391,900    0.99(1.01)
   33(5)   8-20 418,900    2-35 418,600    1.00(1.01)
<教(三)vs行(一)>
 大卒制度年数   行(一)            教(三)
   (年数差)   号俸  俸給月額(A)  号俸  俸給月額(B)   B/A
    0     2-2  143,100    2-5  160,400    1.13(1.12)
    5(5)   3-4  176,400    2-10 195,000    1.11(1.12)
   12(7)   7-1  238,400    2-17 253,700    1.06(1.06)
   18(6)   7-7  294,900    2-23 308,800    1.05(1.05)
   23(5)   7-12 342,600    2-28 349,200    1.02(1.03)
   28(5)   7-17 378,200    2-33 382,200    1.01(1.02)
   33(5)   7-22 399,500    2-38 405,800   1.02(1.04)
 さて、日本人事行政研究所作成の参考資料と比べてどうなっているだろうか。


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5. 旧教育職俸給表(二)(三)の作成(その5) [1.旧教(二)(三)の作成]

 ところで、ここでまた脱線する。
 行(一)との対比といった場合、まず頭に浮かんでくるのは、「国家公務員等の旅費に関する法律の運用方針について」(昭27蔵計922大蔵省主計局長通牒)別表第一「行政職俸給表(一)の各級に相当する職務の級」だという方も多いのではないかと思う。
 現在は教(二)(三)は削除されているが、削除直前のこの表の教(二)(三)の2級に注目すると、次のようになっている。
  行(一)   教(二)       教(三)
  2級    2-3以下     2-6以下
  3級    2-4~7     2-7~10
  4級    2-8        2-11
  5級    2-9~10     2-12
  6級    2-11       2-13~14
  7級    2-12~13    2-15以上
  8級    2-14以上    なし
 これを、財団法人日本人事行政研究所が作成したいわゆる「全人連モデル」の参考資料「参考給与表と行政職俸給表(一)との対比表」を職務の級と号俸に置き換えたものと比べてみると、よく似ていることが分かる。特に大卒制度年数10年のところは、完全に一致していることが分かる。号俸すべての対応関係を号俸間引きがおこなわれる平成8年以前にもどせば、完璧だ。(ただし、詳細に見れば実は1箇所だけ対応関係を考慮した号俸があるが…おそらく原則的な対応関係ではうまくいかない端っこの号俸なのだろう。それは教(三)3級1号俸である。)他にも、教(二)は2級から8級までわたっているが教(三)は7級までである点も一致する。とするならば、人事院が考えていた教(二)(三)と行(一)との対比関係と大蔵省主計局長通牒別表第一における教(二)(三)と行(一)との対比関係は同じ考え方によるものである可能性が高いと言えるのである。


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4. 旧教育職俸給表(二)(三)の作成(その4) [1.旧教(二)(三)の作成]

 ここで、ちょっと後戻りするようだが、旧教育職俸給表(二)(三)の作成に当たっての基本的な考え方を確認しておこう。
 職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならないとされているが、義務教育諸学校の教育職員の給与については、いわゆる人材確保法に基づき、一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならないとされている。
 この人材確保法は、田中角栄内閣の時代、昭和49年に制定された法律であるが、この法律制定後の人事院による最初の給与勧告において、旧教(二)(三)の作成にもかかわる重要な官民較差適用方式の変更が行われている。当時、教員及び看護婦についての給与の特別改善を行うに当たり、そのこととの関連で、従来の総合較差方式を改め、現行の行政職とこれに相当する民間職種との比較方式に変更されたのである。つまり、一部の職種を優遇するために、行政職をはじめ他の職種の給与水準を低くして原資を捻出することが困難と判断されたのだ。そして、これ以後、官民均衡が図られるのは行政職についてのみであって、他の俸給表については、行(一)との均衡を基本に改定が行われることとなった。以来、この方式が踏襲されているようである。
 人材確保法に基づく教員給与の特別改善が第三次改善により一応の完成をみた訳だが、その時に確立された行(一)との均衡の取り方というものは、その後変更を行うべき特別の事情がない限りは変更されないものと考えて良いのではないかと思う。(実際のところは特別事情はあったのであって、その後、本府省職員をターゲットとした行政職の特別改善が行われてはいる。)

 さて、昭和49年の人材確保法制定から今日に至るまでの間において、教(二)(三)と行(一)との対比を行う上で大きく影響を与える制度変更があった。それは、一つは平成4年度から実施された行(一)4級以上に昇格メリットを与えるために導入された一号上位昇格制度、二つめは教(二)(三)で行われた号俸間引きであろう。
 この制度改正の事情が、前に検討した職務の級及び号俸を大卒制度年数との関係において制度的に何かがあるのではないかと想像した大卒制度年数の5年から15年の間の号俸ピッチが5号俸になっていない事情とつながってくると想像できる。
 この点を確認してみよう。前回確認した昇格対応に基づく表から関係部分を抜き出すと次のようになっていた。
<教(二)vs行(一)>        <教(三)vs行(一)>
 大卒制度年数 行(一)         教(二)    行(一)         教(三)
     5     5号俸(3級昇格) 5号俸    5号俸(3級昇格) 5号俸
    10     3号俸(7級昇格) 5号俸    3号俸(7級昇格) 5号俸
    15     5号俸(8級昇格) 5号俸    6号俸        5号俸
 行(一)については、大卒制度年数10年のところは3号俸となっている。大卒制度年数5年から10年までに3級から7級に昇格しているが、その間の昇格メリットが4号俸あるため、それを考慮すると3号俸+4号俸=7号俸になる。一方、教(二)(三)はこの間で2号俸の号俸間引きが行われているため、その間引きが無かったとしたならば5号俸+2号俸=7号俸ということになり、行(一)と教(二)(三)でバランスがとれそうである。
 また、大卒制度年数15年のところを検討してみると、教(三)vs行(一)では、行(一)が6号俸となっているが、教(三)はこの間に1号間引きが行われていることを考慮するとバランスがとれていることになる。同様に教(二)vs行(一)では、一見5号俸づつとなっているが、行(一)には1号俸の昇格メリットがあり、教(二)にはこの間に1号俸間引きがあるから、これらの事情を考慮するとこちらも6号俸でバランスがとれていることになる。
 こうして見ると、一見ずれているように見えた教(二)(三)と行(一)との対比の仕方、職務の級及び号俸の合わせ方については、平成3年以前の俸給表の姿に戻せば単純な対比方法になっていることが確認できることとなった。


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3. 旧教育職俸給表(二)(三)の作成(その3) [1.旧教(二)(三)の作成]

 次に、職務の級及び号俸を大卒制度年数との関係でもう少し詳しく見てみよう。
 教(二)(三)の場合には当然というべきか大卒制度年数5年の刻みと一致して初任給の号俸から5号俸ピッチで上がっている。これと比べて行(一)は、大卒制度年数が上がると昇格していくため、一見して分かりにくくなっている。これを仮に行(一)の昇格のあゆみと考えて、昇格早見表でたどってみると次のようになる。
           <教(二)vs行(一)>       <教(三)vs行(一)>
 大卒制度年数 行(一)        教(二)    行(一)        教(三)
     0     2-2        2-2    2-2        2-5
     5     5号俸(3級昇格) 5号俸   5号俸(3級昇格) 5号俸
    10     3号俸(7級昇格) 5号俸   3号俸(7級昇格) 5号俸
    15     5号俸(8級昇格) 5号俸   6号俸        5号俸
    20     5号俸        5号俸   5号俸        5号俸
    25     5号俸        5号俸   5号俸        5号俸
    30     5号俸        5号俸   5号俸        5号俸
 ここでのポイントは2箇所ある。一つは、大卒制度年数10年で、いずれも5年で3級から7級に昇格しているものの3号俸相当しか上がっていないこと。もう一つは、大卒制度年数15年で、教(二)と対比する行(一)は5年で7級から8級に昇格するものの5号俸相当であるのに対して、教(三)と対比する行(一)は5年で6号俸となっていること。これ以外のところでは5号俸ピッチで上がっているから問題ないと考えるならば、大卒制度年数の5年から15年の間で制度的に何かがあるということが想像できる。
 それはいった何なのか。次回以降で考えていきたい。


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2. 旧教育職俸給表(二)(三)の作成(その2) [1.旧教(二)(三)の作成]

 もちろん、素人があれこれ詮索したところで完璧な旧教育職俸給表(二)(三)が作成できるわけではなく、無意味なことなのかもしれない。が、秘められた作成ノウハウの一端を探り当てることができるなら、専門機関である人事院の給与を担当する職員たちが公立学校教員の職務と責任について何を考え、どのような思想で俸給表を作成していたのかを伺い知ることにつながるだろう。

 ヒントの一つは、全国人事委員会連合会の委託を受けて財団法人日本人事行政研究所が作成したいわゆる「全人連モデル」と呼ばれる旧教育職俸給表(二)(三)相当参考給与表の参考として示された参考資料「参考給与表と行政職俸給表(一)との対比表」にある。それは、平成18年4月制度改正~俸給表水準の引き下げと給与カーブのフラット化を中核とする給与構造改革の前後で教育職と行政職との俸給水準に変わりのないことを示したものであるが、我々の関心から見れば、意義はそれにとどまらない。
 たとえば、教(二)2級と対比している行(一)の俸給月額と教(三)2級のそれとでは、大卒制度年数15年以上で額が違い、教(三)より教(二)の方が高くなっている。ここから、教(二)2級と対比している行(一)の職務の級と教(三)のそれとが異なっていることが容易に推測できる。
 より詳細に見てみよう。
 この対比表は、大卒制度年数5年刻みごとに教(二)(三)と行(一)のそれぞれの俸給月額を対比している。記載されている俸給月額からそれぞれの職務の級と号俸を平成18年4月改正前で確認すると次のようになる。なお、今後、行(一)の職務の級については、特にことわらない限り平成18年4月改定以前の11級制における職務の級とする。
           <教(二)vs行(一)>   <教(三)vs行(一)>
 大卒制度年数 行(一)  教(二)      行(一)   教(三)
     0     2-2  2-2      2-2  2-5
     5     3-4  2-7      3-4  2-10
    10     7-1  2-12     7-1  2-15
    15     8-5  2-17     7-7  2-20
    20     8-10 2-22     7-12 2-25
    25     8-15 2-27     7-17 2-30
    30     8-20 2-32     7-22 2-35
 つまり、教(二)は行(一)の2級から8級まで、教(三)は行(一)の2級から7級までと対比していることが分かる。従来の教育職俸給表の経緯を踏まえたといわれる全人連モデルにおいては、教(二)は行(一)の8級を下らない給料水準、教(三)は行(一)の7級を下らない給料水準とし、それに変更がないように作成しているということである。


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1. 旧教育職俸給表(二)(三)の作成(その1) [1.旧教(二)(三)の作成]

 まず、旧教育職俸給表(二)(三)の作成から考えてみたい。
 数年前、国立大学が法人化されることに伴い、国の給与法から教育職俸給表(二)(三)が無くなることとなり、公立学校教員に適用すべき給料表をどのようにすれば作成できるのか、全国の都道府県教育委員会が悩み始めた。この難題については他県に先駆けて九州の各県が主体的に研究に取り組まれ、中心となられた宮崎県教委の方が人事院に何度も足を運び、教育職俸給表(二)(三)の改定方法のエッセンスを苦労して聞き出されたらしい。
 それによると、まず、「格合わせ」と呼ばれる作業を行う。旧教育職俸給表(二)(三)(以下、適宜「教(二)(三)」と略称する)の場合には、平成12年度版を最後に絶版になった文部省大臣官房人事課給与班監修の『給与事務の手引 初任給、昇格、昇給等の基準』(第一法規)の最終ページ近くに参考資料として掲載されている行(一)や教(二)(三)などの「俸給制度曲線」の附属表(以後、「俸給制度表」と呼ぶことにする。)を使って行(一)Ⅱ種と教(二)(三)2級の格を合わせるらしい。格を合わせるには、それぞれの大卒初任給の号俸を並べる。次に、行(一)の2級から7級までの号俸を峰わたりで対応させるのだ。それは、一見、昇格早見表とよく似ているがまったく違うものである。平成4年から昇格改善が漸進的に実施されたが、その昇格改善前の姿で単純に号俸を並べる。単純にという意味は、昇格早見表のように双子・三つ子は考えずに、各職務の級の初号は下位級の号俸の直近上位となるように配置し、2号以下は1年1号俸で並べるのである。
 次に、教(二)(三)の改定前の各号俸に行(一)の各号俸のその年の改定率を掛けて教(二)(三)の改定後の各号俸を計算する。俸給月額の最低単位は100円であるため、端数の処理を行う。このとき、切り上げるのか、切り捨てるのか、四捨五入するのか、ルールはないらしい。双子・三つ子の関係の維持や最高号俸付近の間差のバランスを考慮して、100円を積んだり、積まなかったりするらしい。「らしい」というのは、聞いた話だからだ。本当にこれだけなのか。最後の微調整などは、鉛筆をなめるような話なのか…
 いずれにしても、「格合わせ」というのがポイントである。俸給月額というのは、単にその職員に毎月支給する俸給の額というにとどまらず、「その官職の職務と責任に応じてこれをなす」とされる国家公務員の給与の根本となる基本給なのであって、それは、それぞれの職種の給与水準を示すメルクマールともなるものなのであろう。


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